セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 110:急性炎症を伴った巨大肝血管腫の一切除例 |
演者 | 藤井 武宏(三重大学 肝胆膵・移植外科) |
共同演者 | 高橋 直樹(三重大学 肝胆膵・移植外科), 田端 正己(三重大学 肝胆膵・移植外科), 種村 彰洋(三重大学 肝胆膵・移植外科), 村田 泰洋(三重大学 肝胆膵・移植外科), 安積 良紀(三重大学 肝胆膵・移植外科), 栗山 直久(三重大学 肝胆膵・移植外科), 岸和田 昌之(三重大学 肝胆膵・移植外科), 水野 修吾(三重大学 肝胆膵・移植外科), 臼井 正信(三重大学 肝胆膵・移植外科), 櫻井 洋至(三重大学 肝胆膵・移植外科), 伊佐地 秀司(三重大学 肝胆膵・移植外科) |
抄録 | 巨大肝血管腫の多くは無症状であるが、稀に、発熱、腹痛、肝機能異常を三徴とする急性炎症を伴うことが指摘されている。われわれは経過観察中、急性炎症を惹起した巨大肝血管腫の一切除例を経験したので報告する。【症例】52才男性。6年前の検診で肝右葉の巨大血管腫を指摘されたが、症状なく近医で経過観察されていた。入院1ヶ月前から38度台の発熱と右側腹部痛および肝機能異常が出現し、当科紹介された。当科受診時CRP は12.2mg/dlと上昇し、γ-GTP 538 U/L、ALP 1102 U/L と胆道系酵素の上昇を認めた。CTでは肝後区域に、造影早期に辺縁に加え内部がまだら状に造影される径12cm大の腫瘍を認め、後期でも内部の不均一な造影効果は持続した。既存の肝血管腫内の出血・感染を疑い、抗生剤投与を開始した。1~2週、37~38℃の発熱が持続したが、経過中、血培、エンドトキシン、プロカルシトニンはいずれも陰性であった。抗生剤投与2週で発熱と右側腹部痛が消失、CRPは 0.60 mg/dlと著減したが、サイトカインはIL-6 11.6pg/ml(正常値4.0以下)、TNF-α16.4 pg/ml(正常値:0.6-2.8)と高値を呈した。CRP正常化後、肝右葉切除を施行した。腫瘍割面はスポンジ状で、病理組織学的には線維性間質を背景に筋層を欠いた大小の血管様構造物の集蔟が認められた。線維化の目立つ領域や著明な浮腫と硝子化を認める領域、さらにヘモジデリン沈着や単核球浸潤部位が存在し、免疫染色結果(D2-40陰性、CD34陽性、Calretinin陰性)と併せて二次的変化の加わった血管腫と診断された。術後経過は良好で、サイトカインはIL-6 4.1 pg/ml、TNF-α 4.7 pg/mlと正常化した。 |
索引用語 | 血管腫, 巨大 |