セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 083:

潰瘍性大腸炎に対して免疫調節薬投与中に直腸原発悪性リンパ腫を合併した一例

演者 永井 真太郎(小牧市民病院 消化器内科)
共同演者 小原 圭(小牧市民病院 消化器内科), 宮田 章弘(小牧市民病院 消化器内科), 平井 孝典(小牧市民病院 消化器内科), 舘 佳彦(小牧市民病院 消化器内科), 小島 優子(小牧市民病院 消化器内科), 灰本 耕基(小牧市民病院 消化器内科), 佐藤 亜矢子(小牧市民病院 消化器内科), 飯田 忠(小牧市民病院 消化器内科), 和田 啓孝(小牧市民病院 消化器内科), 濱崎 元伸(小牧市民病院 消化器内科)
抄録 【背景】潰瘍性大腸炎(以下UC)の難治例に対してアザチオプリン(以下AZA)、6-MPなどの免疫調節薬や抗TNFα抗体製剤の有効性が明らかになり、使用する頻度は増えている。それに伴って、長期使用例などで悪性リンパ腫などの悪性腫瘍の発生が報告されている。今回我々は、難治性UCに対し免疫調節薬投与後に直腸原発悪性リンパ腫を合併した症例を経験したので報告する。【症例】66歳男性。2006年1月発症の左側大腸炎型のUCと診断された。病初期は5-ASA製剤内服・注腸にて治療。2008年6月UC増悪認め、プレドニゾロン(以下PSL)注腸併用となった。同年12月改善なくPSL内服開始となる。2009年ステロイド抵抗性の難治例として顆粒球除去療法(GCAP)施行。同年12月AZA内服開始、その後寛解状態維持していた。2012年11月腹痛、血便認め当院受診。造影CT検査にてS状結腸から直腸にかけて壁肥厚・周囲の脂肪織混や水腎症認め、UC増悪疑いにて緊急入院となった。入院後の大腸内視鏡検査にて直腸RsからRaに限局して潰瘍伴う不整粘膜・狭窄所見認められた。S状結腸は寛解状態と思われる粘膜であった。直腸病変部より生検施行したところ、びまん性大細胞型B細胞性悪性リンパ腫(DLBCL)と診断された。尿管への浸潤認めAnn Arbor分類でIV期診断され、血液内科にてR-CHOP療法にて治療開始となり現在も治療継続している。2013年2月フォローの大腸内視鏡検査では直腸のリンパ腫病変以外の大腸は炎症所見認めず、UCとしては寛解状態であり、現在のところ維持している。【考察】今回、難治性UCに対して免疫調節薬投与中に直腸原発悪性リンパ腫を合併した症例を経験した。臨床症状からはUC再燃・増悪を疑ったが、実際は悪性リンパ腫病変に伴う症状であった。免疫調節薬使用にあたっては悪性腫瘍の発生に注意が必要であり、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 悪性リンパ腫