セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 114:

C型慢性肝炎に対するIFN,リバビリン併用療法著効10年後に認めた肝細胞がんの2例

演者 廣瀬 崇(豊橋市民病院)
共同演者 廣瀬 崇(豊橋市民病院), 浦野 文博(豊橋市民病院), 内藤 岳人(豊橋市民病院), 藤田 基和(豊橋市民病院), 山田 雅弘(豊橋市民病院), 山本 英子(豊橋市民病院), 松原 浩(豊橋市民病院), 竹山 友章(豊橋市民病院), 田中 卓(豊橋市民病院), 鈴木 博貴(豊橋市民病院), 芳川 昌功(豊橋市民病院), 岡村 正造(豊橋市民病院)
抄録 【はじめに】C型慢性肝炎に対するIFN治療によるウイルス消失により,その後の肝細胞癌発生のリスクが減少することは周知の事実であるが,ウイルス消失後にいつまで肝細胞癌のサーベイランスが必要であるかは不明である.今回,我々は,ウイルス消失10年経過後に初発肝細胞癌を発生した2例を経験したの報告する.【症例1】63歳 男性.H14年,A2F3,genotype 1b,高ウイルス量,組織学的にはA2F3の慢性肝炎に対し,H14年,IFNα2b,リバビリン併用療法を施行し,著効を得た.H20年までは年2回,当科にて採血,画像検査を行っていたが,同年4月の当科US後は近医にてフォローされた.H25年,検診胸部X線異常のために撮影した胸部CTにて肝S8に10mm強のLDAを認め当科紹介となった.USでは描出困難であったが,EOB-MRIでは肝S8にT1WIは低信号,T2WIでは高信号となる10mm強の腫瘍を認め,動脈相にて濃染し,肝細胞相では欠損像と描出され,肝細胞癌と診断した.HCVRNAは陰性,AFP/L3/DCP 2.4/0.5ミマン/21,血小板 17.2万,ICGR15 4.8%,Child Aと肝予備能で良好なため,切除目的に外科紹介となった.【症例2】80歳 男性.H14年,IFNα2b,リバビリン併用療法を施行し,著効.H19年までは当科にてフォロー,以降は近医通院していた.H25年,甲状腺機能低下症,甲状腺癌にて当院内分泌内科紹介.術前精査中に肝前区域に10cm超の腫瘍を認め当科紹介となった.EOB-MRIでは肝S8にT1WIは低信号.T2WIでは高信号となる10cm超の腫瘍を認め,動脈相にて濃染し,肝細胞相では欠損像と描出され,肝細胞癌と診断した.HCVRNAは陰性,AFP/DCP 3899/36,血小板 16.5万,ICGR15 7.4%,Child Aと肝予備能で良好なため,当院外科にて切除した.【考察】今回報告した2例はともにIFNにてウイルス消失後10年以上経過後に発見された肝細胞癌である.症例2は,経過がしっかりフォローされていれば,もっと早期に発見できた可能性が高いが,症例1は10年間のUSフォローでは発見困難であったと考えられる.ウイルス消失後のC型慢性肝炎のフォローに関しては,その期間だけではなく,検査の間隔やデバイスに関しても検討すべきであると思われた.
索引用語 肝細胞癌, 慢性C型肝炎