セッション情報 | シンポジウム「炎症性腸疾患の診断と治療 up-to-date」 |
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タイトル | S-07:当院における難治性潰瘍性大腸炎に対するtacrorimus治療の現況 |
演者 | 松下 正伸(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学) |
共同演者 | 安藤 貴文(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 石黒 和博(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 前田 修(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 渡辺 修(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 平山 裕(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 森瀬 和宏(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 前田 啓子(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 古川 和宏(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 舩坂 好平(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 中村 正直(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 宮原 良二(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大学大学院医学系研究科 消化器内科学) |
抄録 | 【目的】tacrorimus (TAC) は難治性潰瘍性大腸炎(UC)に対する新たな治療法として、cyclosporine やintensive cytapheresis、そしてinfliximabと共に重要な選択肢の一つとなっている。使用については早期の血中トラフ濃度確保のための用量調節、長期使用における有効性など問題も多い。そこで、当院におけるTACの寛解導入効果、導入に影響を与えた因子、長期投与の現況ついて検討した。【方法】対象はUC47例(重症20例、中等症27例)。TAC投与は初日投与量0.1mg/kg、目標トラフ値10~15ng/mlとし、血中濃度に応じて投与量を調整した。治療効果判定はLichigerのClinical activity index (CAI) を用い、投与後のCAIが4以下を寛解、投与前より5以上の低下を有効とした。【結果】1週目時点で目標血中濃度に28例(60%)、2週目時点で39例(83%)が到達。投与4週後では、28例(60%)の症例が寛解、有効6例(13%)、無効12例(25%)、浮遊感による投与中止が1例であった。重症度別に検討すると、寛解導入率は重症例65%と中等症56%、重症例において寛解導入率が高い傾向が見られた。絶食の有無について検討すると、絶食下の寛解導入率が有意に高かった(80%>49%)。併用薬剤について検討すると、prednisolone投与量は開始時平均18.2 mg、開始3カ月後は平均2.3 mgと、有意に低下していた。しかし投与量と寛解導入効果には関連はみられなかった。開始時にazathioprine(AZA)を併用していた場合の寛解導入率は有意に高かった。4週後に寛解・有効となった33例は、3ヶ月後に27例が寛解を維持、3例が再燃、うち2例は外科手術となった。【結論】TAC投与4週間後の寛解導入、有効率は70%以上であり、寛解導入率を高めるために、絶食、AZAを併用することが有用である可能性が示唆された。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, タクロリムス |