セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 030:

セフトリアキソン(CTRX)を使用し、有症状の偽胆石症を発症した3例

演者 河辺 健太郎(名古屋記念病院 消化器内科)
共同演者 宮良 幸子(名古屋記念病院 消化器内科), 神谷 聡(名古屋記念病院 消化器内科), 鈴木 重行(名古屋記念病院 消化器内科), 中舘 功(名古屋記念病院 消化器内科), 高田 真由子(名古屋記念病院 消化器内科), 村上 賢治(名古屋記念病院 消化器内科)
抄録 (症例1)70歳女性。2ヶ月前から肺炎で当院に2回入院し、総合内科でCTRXによる治療を行っていた。転院後、胆道系酵素の上昇と心窩部痛が出現し近医より当科へ紹介となった。CTで総胆管結石を認めた。CTRXは肺炎による1回目の入院で2g×20日間、2回目の入院で2g×7日間を使用していた。CTを見返すと、無症状ながら 2回目の肺炎での入院時には胆嚢結石は出現していた。2回目肺炎の退院後より10日で肝胆道系酵素の上昇、心窩部痛、総胆管結石を認めた。基礎疾患や全身状態より、ERCP等の侵襲的治療は行わずに絶食、補液、抗生剤の保存的加療にて経過観察したところ、総胆管結石は4週間後に、胆嚢結石は8週間後に自然消失した。(症例2)37歳女性。1週間前に虫垂炎にて当院外科に入院した。CTRX2gを4日間使用し、手術治療を行った。退院1週間後に腹痛が出現し、当院を受診した。CTで総胆管結石を認め精査加療目的に当科への入院となる。絶食、補液、抗生剤の保存的加療にて経過観察したところ、総胆管結石は1週間後に、胆嚢結石は4週間後に自然消失した。(症例3)21歳男性。3週間前に虫垂炎にて当院外科に入院した。手術は行わずCTRX2g を4日間使用した。退院2週間後に心窩部痛と嘔吐にて当院を受診した。 CTで総胆管結石を認め、精査加療目的で当科への入院となる。ERCPも考慮したが、発症より5日目の腹部CTで総胆管結石は消失していた。(結語)CTRX投与により胆嚢内に結石様物質が沈殿した症例が散見されている。この副作用は小児において良く知られているが、成人での報告は少なく、十分に認識されておらず、有症状ではじめて報告される場合が多い。当院で薬剤中止により速やかに消失した症例を経験したので、貴重な症例と考え、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 セフトリアキソン, ロセフィン