セッション情報 一般演題

タイトル 019:

腹腔鏡下に修復しえた巨大胃潰瘍穿孔の1例

演者 越智 靖夫(名古屋市立東部医療センター)
共同演者 谷脇 聡(名古屋市立東部医療センター), 服部 かをり(名古屋市立東部医療センター), 大見 関(名古屋市立東部医療センター), 齋藤 健太(名古屋市立東部医療センター), 遠藤 克彦(名古屋市立東部医療センター), 友田 佳介(名古屋市立東部医療センター), 森 洋一郎(名古屋市立東部医療センター), 柴田 康行(名古屋市立東部医療センター), 羽藤 誠記(名古屋市立東部医療センター)
抄録 症例は83歳女性。黒色調の吐血を主訴に、当院内科外来受診した。既往歴は認知症と高脂血症を認め、非ステロイド性消炎鎮痛剤の内服歴があった。CTにて肝周囲にfree airを認め、WBC/CRP=25980/8.4、上部消化管穿孔・穿孔性腹膜炎の診断にて外科紹介となった。高齢および血圧低下を認め、同日緊急手術の方針となった。手術直前の上部消化管内視鏡検査(GIF)では、前庭部前壁に胃潰瘍が存在し、周囲は強い浮腫状変化を認めた。手術開始時、胃前壁は腹壁に固定されており、当初気腹を得られなかった。腹壁固定部を全周性に剥離したところ、約2x3cmの穿孔部が出現し、同時に気腹も可能となった。巨大な胃潰瘍穿孔であったが、腹腔鏡下胃潰瘍穿孔修復術を大網充填法にて施行した。両端針付き吸収糸で大網先端を結紮したのち、胃内腔に向けて刺入し胃壁を貫通させ結紮固定した。穿孔部から胃内に十分な大網が充填され、さらに胃壁に結紮・固定を加えた。術後経過は良好で、第7病日に施行した上部消化管造影検査では明らかなleakageは見られなかった。また、第14病日に施行したGIFでは、活動期胃潰瘍A1を認め、生検3か所施行したが、高度炎症細胞浸潤とびらんを認める胃粘膜組織でgroup1であった。胃癌の可能性は否定的となった。穿孔径の大きな上部消化管穿孔症例では、手術術式を決定する際に、腹腔鏡下手術と開腹手術の選択に検討を要することがありうる。実際、文献的には、穿孔径に関して10mmを超えたら開腹手術を考慮すべきとの報告もある。今回われわれは、腹腔鏡下に修復しえた巨大胃潰瘍穿孔の1例を経験し、良好な術後経過を得られたため、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胃潰瘍穿孔, 腹腔鏡下手術