セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 084:クローン病患者の穿孔性腹膜炎に対する緊急手術で診断された回腸・S状結腸癌の一例 |
演者 | 加地 謙太(岐阜県立多治見病院 消化器内科) |
共同演者 | 水島 隆史(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 市川 紘(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 鈴木 雄太(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 福定 繁紀(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 井上 匡央(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 安部 快紀(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 岩崎 弘靖(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 西江 裕忠(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 奥村 文浩(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 佐野 仁(岐阜県立多治見病院 消化器内科) |
抄録 | 【症例】43歳男性【既往歴】クローン病、十二指腸潰瘍【主訴】下腹部痛【現病歴】H18年よりクローン病(小腸・大腸型)にて当院通院中であった。5-ASA内服+成分栄養療法を行っていたがH19年腹痛症状の増悪あり、注腸および小腸造影検査より結腸・回腸瘻を認めた。手術を勧めたが希望されず、アザチオプリンの内服を追加しフォローしていた。H24年8月下腹部痛を主訴に当院を受診した。【現症】体温:37.6℃ 血圧:143/95mmHg 脈拍:98回/分 腹部:平坦、硬、腹部全体に圧痛あり(下腹部に強い)、筋性防御あり、反跳痛あり【検査所見】血液検査:WBC 8500/μL、Hb 13.0g/dL、Plt 40×104/μL、TP 6.40g/dL、Alb 3.60g/dL、Bil 0.53mg/dL、AST 26IU/L、ALT 20IU/L、γ-GTP 180IU/L、LDH 150IU/L、Amy 71IU/L、BUN 11.1mg/dL、Cre 0.99mg/dL、CRP 1.09mg/dL CT:肝周囲や腸間膜部にfree airを認めた。回腸-結腸の内瘻化している部位に壁肥厚や周囲脂肪織濃度上昇がみられた。膀胱直腸窩に腹水を認めた。【経過】穿孔性腹膜炎の診断で緊急手術(回腸+S状結腸部分切除術)を行った。回腸とS状結腸に瘻孔があり、瘻孔部位の回腸側には径30×40mmの腫瘤を認め病理検査結果は高分化腺癌、S状結腸側の瘻孔近傍には5mm大のポリープを認め病理検査結果は粘膜内癌(高分化腺癌)、pT4NxM0, pStage2Bであった。また背景の腸管には、浮腫状の粘膜固有層にリンパ球や形質細胞などの著明な炎症細胞浸潤を認め、非乾酪性肉芽腫が散見された。第8病日に食事開始、第14病日に退院となった。【考察】近年炎症性腸疾患患者は増加し、長期間経過観察されている患者数も増えている。クローン病の長期経過症例では癌の発症が危惧されるが、罹患部位が小腸であることも多く、癌の早期発見が困難なことが多い。長期経過症例では、内視鏡検査、CT検査及び腫瘍マーカーの測定など、癌を念頭においたフォローが必要であると考えられる。【結語】クローン病の癌合併報告例の多くは大腸癌で、回腸・S状結腸で癌を認める症例は稀であり、文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | クローン病, 回腸癌 |