セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 090:

慢性下痢に対して大腸粘膜生検で診断し得た腸管スピロヘータ症の2例

演者 八鹿 潤(名古屋第一赤十字病院)
共同演者 春田 純一(名古屋第一赤十字病院), 山口 丈夫(名古屋第一赤十字病院), 土居崎 正雄(名古屋第一赤十字病院), 石川 卓哉(名古屋第一赤十字病院), 山 剛基(名古屋第一赤十字病院), 村上 義郎(名古屋第一赤十字病院), 村手 健太郎(名古屋第一赤十字病院), 服部 峻(名古屋第一赤十字病院), 山田 健太(名古屋第一赤十字病院), 長谷川 一成(名古屋第一赤十字病院), 植田 恵子(名古屋第一赤十字病院)
抄録 腸管スピロヘータ症Intestinal spirochetosis(IS)は、Brachyspira属グラム陰性桿菌による人畜共通感染症で、本邦では比較的稀な疾患である。自覚症状に乏しく治療の是非を含めその病態については未だ不明な点が多い。今回慢性下痢症を主訴に受診し、ISと診断した2症例を経験したため報告する。【症例1】75歳男性。S状結腸早期大腸癌に対し内視鏡的治療の既往があり、過敏性腸症候群で当科通院中であった。3ヶ月前より下痢の増悪を認め受診。大腸粘膜には内視鏡的異常所見を認めなかったが、全大腸から生検を行いWarthin-Starry染色陽性のスピロヘータの菌体を認めISと診断した。メトロニダゾール1500mg /dayを10日間内服し下痢が改善した。【症例2】23歳男性。2ヶ月間続く1日5-6行の下痢を主訴に前医受診したが原因不明のため当院を受診。CSでは大腸粘膜に異常所見を認めなかったが、全大腸から生検を行いISと診断した。メトロニダゾール1500mg /dayを2週間内服し下痢が改善した。【考察・結論】腸管スピロヘータ症の殆どは無症状であるが、感染菌種や基礎疾患により、臨床症状が異なる事が報告されている。自験例では共に下痢症状を呈していた。診断には組織診断が必須であるため、慢性的な下痢症状を呈す症例では、内視鏡的な異常所見がなくても積極的に生検を行う必要があると考える。また、本疾患と診断し、慢性下痢が継続する症例に対して抗菌薬の投与が有用であると考えられた。
索引用語 慢性下痢, 腸管スピロヘータ症