セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 081:

重篤な急性咽喉頭炎を合併した潰瘍性大腸炎の一例

演者 木下 雄貴(豊橋市民病院 消化器内科)
共同演者 浦野 文博(豊橋市民病院 消化器内科), 内藤 岳人(豊橋市民病院 消化器内科), 藤田 基和(豊橋市民病院 消化器内科), 山田 雅弘(豊橋市民病院 消化器内科), 山本 英子(豊橋市民病院 消化器内科), 松原 浩(豊橋市民病院 消化器内科), 竹山 友章(豊橋市民病院 消化器内科), 田中 卓(豊橋市民病院 消化器内科), 鈴木 博貴(豊橋市民病院 消化器内科), 廣瀬 崇(豊橋市民病院 消化器内科), 芳川 昌功(豊橋市民病院 消化器内科), 岡村 正造(豊橋市民病院 消化器内科), 平山 真理子(豊橋市民病院 耳鼻いんこう科)
抄録 【はじめに】潰瘍性大腸炎は関節炎、虹彩炎、膵炎、皮膚症状などの腸管外合併症を伴うことがある。今回我々は、重篤な急性咽喉頭炎を合併した潰瘍性大腸炎の一例を経験したので報告する。【症例】50歳代男性。【既往歴】高血圧。15歳時に虫垂切除。【現病歴】20XX年7月半ばより血性下痢があったが放置していた。8/11から咽頭痛や発熱があり、近医耳鼻科に通院し抗菌薬が投与された。8/20、耳鼻科受診時に喉頭蓋に多発するアフタ様びらんを認めた。8/28、口腔内びらんが悪化したため当院耳鼻科を紹介受診。口唇・口腔内に粘膜剥離・びらん、上咽頭に潰瘍、喉頭蓋に白苔・披裂部腫脹を認め、経口摂取が困難な状態であり、急性咽喉頭炎の診断にて耳鼻科入院。PSL 40mgと抗菌薬が投与されたが改善を認めなかった。8/29に大量下血あり当科紹介。CTで、大腸全域にわたり腸管壁肥厚を認め、潰瘍性大腸炎が疑われた。8/30にTCSを施行したところ、直腸粘膜は発赤・浮腫状で、Rsからは広範囲に粘膜脱落を認め、易出血性であり、全大腸炎型潰瘍性大腸炎・重症例と診断した。同日よりPSL 50mgに増量したが、9/4に大量下血がありショック状態となった。CTを施行すると、盲腸内にextravasationを認め、回盲部より肛門側の腸管内に血腫を認めた。内科的治療の限界と考え外科紹介。同日大腸全摘術・人工肛門造設術が施行された。切除標本では結腸全域に潰瘍形成が広汎に見られた。潰瘍部では粘膜固有層から粘膜下に中等度の炎症細胞浸潤が見られたが、CMV感染を示唆する核封入体は認めなかった。術前には急性咽喉頭炎の治療に難渋したが、大腸全摘術後に速やかに軽快した。術後の口唇および頬粘膜生検では、特異的な炎症所見は認めなかった。術直後からPSLを漸減し、10/1にPSL投与を終了、10/2には口唇と舌のびらんは消失し、喉頭の一部に白苔を認めるまでに改善、10/3に退院した。【考察】本症例において、急性咽喉頭炎は潰瘍性大腸炎の腸管外合併症と考えられた。医中誌で検索したところ、急性咽喉頭炎を合併した潰瘍性大腸炎の報告例はなく、本症例は非常に稀な症例と考えられた。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 急性咽喉頭炎