セッション情報 |
シンポジウム「炎症性腸疾患の診断と治療 up-to-date」
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タイトル |
S-06:当院における難治性潰瘍性大腸炎の寛解導入療法の検討
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演者 |
田中 卓(豊橋市民病院 消化器内科) |
共同演者 |
山田 雅弘(豊橋市民病院 消化器内科), 浦野 文博(豊橋市民病院 消化器内科) |
抄録 |
【はじめに】難治性潰瘍性大腸炎に治療にタクロリムス(TAC)とインフリキシマブ(IFX)が保険適応となったが、その使い分けは明らかになっていない.今回我々は難治性潰瘍性大腸炎の治療成績を明らかにすることを目的として、TACあるいはIFXを使用した難治性潰瘍性大腸炎の患者について検討した.【対象】2010年7月から現在までにTACあるいはIFXを投与した難治性潰瘍性大腸炎患者52例.TAC群 34例、IFX群 18例.【方法】TAC群とIFX群の患者背景(年齢・性別・病型・重症度・ステロイド依存性/抵抗性、CAIスコアー)および、寛解導入率を4-6週、12週、24週で比較検討した.【結果】TAC群の平均年齢は42.7±18.1(16-75)歳、男女比は18:16、病型は全大腸炎型27例、左側大腸炎型6例、直腸炎型1例で、重症度は重症19例、中等症15例であった。ステロイド抵抗例29例、依存例5例でTAC開始時のCAIスコアーは7.94±3.29(3-15)であった.IFX群の平均年齢は39.5±15.3(16-67)歳、男女比は7:11、病型は全大腸炎型12例、左側大腸炎型6例で、重症度は重症9例、中等症9例であった.ステロイド抵抗例12例、依存例6例でIFX開始時のCAIスコアーは7.61±2.45(4-15)でああり、両群の患者背景には有意差はなかった。TAC群の寛解導入率は4-6週では73.5%、12週では76.5%、24週では70.6%であった.一方で、IFX群の寛解導入率は4-6週では50.0%、12週では73.3%、24週では81.8%であり、各地点での寛解導入率に有意差は無かったが4-6週での寛解導入率はTAC群で高い傾向が認められた.TAC群の導入不成功例は11例で、二次治療にはIFXが7例、CsAが3例、TAC継続投与が1例であった.TAC群の導入不成功例に対するIFXの効果は、7例中3例に有効で無効の4例が手術された。 IFX群の導入不成功例は5例あり、二次治療にはTAC1例、ADA1例、CsAを上乗せ1例、PSL+AZA2例であった.【結語】TACとIFXの24週までの寛解導入率には有意差はみられなかったが、4-6週ではTAC群で導入率が高い傾向があった. |
索引用語 |
ナンチ性潰瘍性大腸炎, 寛解導入療法 |