セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 104:

上部消化管内視鏡検査から診断に至ったOsler-Weber-Rendu病(遺伝性出血性毛細血管拡張症)の1例

演者 春田 明範(半田市立半田病院 消化器内科)
共同演者 森井 正哉(半田市立半田病院 消化器内科), 肥田野 等(半田市立半田病院 消化器内科), 大塚 泰郎(半田市立半田病院 消化器内科), 神岡 諭郎(半田市立半田病院 消化器内科), 岩下 紘一(半田市立半田病院 消化器内科), 川口 彩(半田市立半田病院 消化器内科), 山田 啓策(半田市立半田病院 消化器内科), 水野 和幸(半田市立半田病院 消化器内科), 日下 真宏(半田市立半田病院 消化器内科)
抄録 【症例】61歳 男性【既往歴】左慢性中耳炎【現病歴】2012年初頭よりめまい感・耳鳴りあり当院耳鼻科に通院中、同年10月にめまい感・ふらつき・不眠にて当院精神科受診した際、血液検査にて鉄欠乏性貧血を認めたため消化器内科を初診された。上部消化管内視鏡検査施行し胃毛細血管拡張症を認めた。カプセル内視鏡では十二指腸から空腸にかけて毛細血管拡張が多発していた。CTでは肝全体にシャントが多発しており、CT3Dangioにて上腸間膜動脈から置換右肝動脈が、左胃動脈から置換左肝動脈が分岐しているなどの破格を認めた。後日血管造影検査を施行し、DSAでは胃十二指腸動脈の造影にて動脈相での異常小動脈の集簇、毛細血管相での濃染像を認め、また腹腔動脈造影にて中肝動脈は総肝動脈より分岐しており、左肝動脈は左胃動脈から分岐、右肝動脈は上腸管膜動脈から分岐しており、肝動脈はいわゆるReplacement typeであった。CTAPではPVシャントを認め、CTAでは末梢レベルでの短絡が疑われた。口唇・口腔・両手指先に末梢血管拡張を認めること、胃・十二指腸・空腸に多発する毛細血管拡張や肝臓の血管奇形を認めること、詳細なアナムネで2年前から鼻出血しやすい時期があることからOsler-Weber-Rendu病と診断した。本症は遺伝性疾患でありご家族も診察をすべきであったが、父母は他界し唯一の血縁者である兄は持病にて来院困難であるため診察はできなかった。今後は遺伝子検査を施行予定である。その他合併症検索のためCTにて肺野、MRIにて中枢神経系の血管奇形の評価を行ったが異常は認めなかった。治療に関して貧血に対し胃・十二指腸の観察可能範囲の拡張血管に対しAPC焼灼を行い、現在は鉄剤投与にてコントロールできており、その他合併症なく経過している。【考察】Osler-Weber-Rendu病は稀な疾患である。今回鉄欠乏性貧血のため上部消化管内視鏡検査を施行した結果、多発する毛細血管拡張を認めたことより本疾患を疑う手がかりとなった一例を経験したので報告する。
索引用語 Osler, 遺伝