セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 054:

保存的加療が奏効した上腸間膜静脈・門脈血栓症の4例

演者 金子 雅直(藤枝市立総合病院)
共同演者 丸山 保彦(藤枝市立総合病院), 景岡 正信(藤枝市立総合病院), 大畠 昭彦(藤枝市立総合病院), 志村 輝幸(藤枝市立総合病院), 宇於崎 宏城(藤枝市立総合病院)
抄録 【はじめに】上腸間膜静脈・門脈血栓症は比較的まれな疾患であり、無症状のものから腸管壊死などの重篤なものまでさまざまな症状を呈し診断が困難な場合も多いとされる。今回われわれが経験した上腸間膜静脈・門脈血栓症の4例を報告する【症例1】25歳、女性。心窩部痛で来院し、CTで門脈血栓症と診断。採血でATIIIの低値をみとめた。ヘパリンナトリウム投与後ワルファリンカリウムで加療し症状の改善をみとめた。【症例2】53歳、男性、発熱、左上腹部痛で来院。CTで門脈に血栓をみとめた。ヘパリンナトリウム投与後ワルファリンカリウム導入し症状は軽快。採血で抗カルジオリピン抗体高値、プロテインCの低値をみとめ抗リン脂質抗体症候群、プロテインC欠乏症と診断した。【症例3】58歳、男性。左側腹部痛で来院。CTで上腸間膜静脈に血栓をみとめた。ワルファリンカリウムなど使用し血栓は縮小傾向みとめた。採血ではプロテインS,Cなどの低下なく、基礎疾患もみとめず原因は不明であった。【症例4】83歳、男性。発熱、皮膚黄染で来院。CTで門脈・上腸間膜静脈に血栓をみとめた。来院時、敗血症、DICの状態であったが、抗生剤投与、トロンボモジュリンアルファ投与などを行い改善みとめた。ヘパリンナトリウムによる治療開始も血尿の持続、腸腰筋内血腫を生じ中止したが、門脈・上腸間膜静脈血栓症による症状は乏しく、CTでは側副血行路の発達を確認した。【まとめ】上腸間膜静脈・門脈血栓症の原因としては、血液凝固線溶系異常、門脈圧亢進症、炎症、手術、外傷などが報告されている。今回、多様な原因から発症した症例を経験した。上腸間膜静脈・門脈血栓症の重症化を防ぐには早期の抗血栓療法が重要である。今回の症例ではCTが早期診断に有効であり、また、治療効果を判定する上でも重要と考えられた。また血栓症に対して、重症化に至らず内科的治療で症状の軽快を得ることができた。若干の文献的考察を含めて考察する。
索引用語 門脈血栓症, 上腸間膜静脈血栓症