セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 059:

甲状腺濾胞癌の膵転移の一切除例

演者 市川 健(済生会松阪総合病院 外科)
共同演者 河埜 道夫(済生会松阪総合病院 外科), 近藤 昭信(済生会松阪総合病院 外科), 田中  穣(済生会松阪総合病院 外科), 長沼 達史(済生会松阪総合病院 外科)
抄録 症例:50歳代女性。既往歴:16年前子宮全摘術と甲状腺濾胞癌手術、9年前に非定型抗酸菌症。家族歴:特記事項なし。主訴:右鼠径部痛。現病歴:当院受診1か月前より時々右鼠径部痛あり、軽快しないため来院。身体所見:腹部は平坦軟、右鼠径部に僅かに圧痛あるも膨隆はなし。腹部USにて右鼠径部には20mm大のリンパ節腫大を認めた。同時に膵体部に36mm大の低エコー腫瘤が指摘された。血液検査:WBC・CRP等炎症反応上昇はなし。生化学検査異常なし。CEA、CA19-9、DUPAN2、Span-1、IgG4、インスリン、ガストリン、グルカゴンの上昇はみられなかった。造影USでは腫瘤は早期から濃染された。腹部CTで膵体部に不均一に造影効果を示す腫瘤を認め、実質相、後期相と造影効果は低下し辺縁は分葉状で浸潤傾向は認めず、嚢胞成分や石灰化、主膵管拡張はなかった。造影MRIではT1低信号、T2で淡い高信号を呈し造影早期より造影効果を認め、PET=CTでは腫瘍にSUVmax5.04と集積を認めた。非機能性の膵島腫瘍の術前診断で手術を施行した。術中所見では腫瘍は周囲に浸潤傾向なく、またリンパ節腫大もなく膵体尾部切除、脾摘、D1リンパ節郭清術を行った。病理学的所見では腫瘍は卵円形の核を有する細胞の小型から大型の濾胞細胞の増殖を認めた。16年前の甲状腺濾胞癌と同様の所見で、甲状腺濾胞癌の膵転移と診断した。甲状腺濾胞癌の膵転移の報告例は本邦でも非常に稀であり、今回我々は文献的考察も加えて報告する。
索引用語 甲状腺癌, 膵転移