セッション情報 一般演題

タイトル 013:

特異な形態を示した胃型腺腫の1例

演者 藤吉  俊尚(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科)
共同演者 田中 努(愛知県がんセンター中央病院 内視鏡部), 田近 正洋(愛知県がんセンター中央病院 内視鏡部), 石原 誠(愛知県がんセンター中央病院 内視鏡部), 水野 伸匡(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科), 原 和生(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科), 肱岡 範(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科), 今岡 大(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科), 永塩 美邦(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科), 関根 匡成(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科), 與儀 竜治(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科), 堤 英治(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科), 佐藤 高光(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科), 伊藤 治(みよし市民病院 内科), 山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院 消化器内科), 丹羽 康正(愛知県がんセンター中央病院 内視鏡部)
抄録 【症例】60歳代、女性【主訴】自覚症状なし【現病歴】貧血精査のため前医にて施行された上部消化管内視鏡検査で、穹窿部に広範に広がる病変を認めたため精査加療目的に当院紹介となった。【経過】通常内視鏡所見では、高度な萎縮粘膜を背景として、胃噴門部直下大弯から前壁にかけての丈の高い乳頭状の0-I病変と、その周囲に広範に広がる丈の低いビロード状の0-IIa病変を認めた。病変の大きさは約8cmであった。NBI拡大内視鏡所見では、0-I部はwhite zoneが消失し、伸展し蛇行した微小血管の増生がみられ、0-IIa部はwhite zoneが目立ち、乳頭状の変化を認めた。内視鏡像からは、腺腫あるいは腺腫内癌を疑った。生検では胃腺腫(Group3)で明らかな悪性像は認めなかったが、広範な病変のため癌の合併は否定できないと考えた。部位、大きさから内視鏡的切除(ESD)は困難であると判断し、内視鏡補助下に外科的胃局所切除を施行した。切除検体の病理組織所見では、腫瘍は異型の軽度な高円柱上皮が幽門腺に類似した腺管構造を形成して増殖しており、一部の腺管では嚢胞状の拡張が目立った。明らかな悪性像はみられず、軽度異型を伴う胃型の管状腺腫(Tubular adenoma with mild atypia)と診断された。【考察】胃腺腫は日常臨床でよく遭遇する疾患であるが、その多くは腸型である。近年、胃型形質を有する腺腫病変が報告され、胃型腺腫として認知されているものの胃腺腫全体に占める割合は5%前後と少ない。今回我々は、特異な形態を示した胃型腺腫の1例を経験したので報告する。
索引用語 胃型腺腫, 胃腺腫