セッション情報 一般演題

タイトル 116:

当院におけるC型急性肝炎の検討

演者 金子 望(社会保険中京病院 消化器科)
共同演者 長谷川 泉(社会保険中京病院 消化器科), 杉村 直美(社会保険中京病院 消化器科), 堀口 徳之(社会保険中京病院 消化器科), 石原 祐史(社会保険中京病院 消化器科), 飛鳥井 香紀(社会保険中京病院 消化器科), 高口 裕規(社会保険中京病院 消化器科), 井上 裕介(社会保険中京病院 消化器科), 戸川 昭三(社会保険中京病院 消化器科), 榊原 健治(社会保険中京病院 消化器科), 大野 智義(社会保険中京病院 消化器科)
抄録 【背景・目的】C型慢性肝炎は近年SVRを得る確率が上昇してきた。しかし薬物乱用や不衛生処置で若年者を中心に新規感染者の存在が報告されている。急性感染は自然経過で高率に慢性化するなどその臨床像について一定の見識を持たねばならない。今回我々は当院で経験したC型急性肝炎(AH-C)症例について検討し報告する。【対象】過去5年間に4名の急性C型肝炎を経験した。男女比は1:3、年齢中央値は45歳(41-49)であった。【結果】症例1:45歳女性、倦怠感で受診し肝障害認め入院した。各種検索でも原因不明でHCV抗体再検時上昇を機にHCVRNA 6.3logIU/mL判明しAH-Cと診断した。医療従事者で感染源は足指創が疑われた。遺伝子型は判定不能でペグインターフェロン+リバビリンの併用療法(PR)24週でSVRとなった。症例2:49歳男性、倦怠感で来院し肝障害認め入院した。HCV抗体は3か月前陰性だが入院時に軽度上昇、HCVRNA 4.8logIU/mLでAH-Cと診断した。2型で感染経路は不法薬物の回し打ちであった。自主退院し半年後再来院時PR開始したが5回投与で自己中断となった。SVRは得られていない。症例3:41歳女性、症例2の内縁の妻、肝障害で夫の発症後5カ月頃受診した。来院時HCV抗体陽性、2型で夫からの感染と考えられた。PRを開始したが来院間隔不定で17回で打ち切った。幸い中止後半年後SVR得られた。症例4:45歳女性、倦怠感を主訴に近医受診し肝障害認め当院へ紹介受診した。来院時HCV抗体軽度上昇でHCVRNA7.4 logIU/mL、再検時抗体上昇傾向にありAH-Cと診断した。感染経路は不詳、軽度貧血ありPegIFN単剤にて治療継続中である。【考案】わが国でも頻度は低いが医療従事者や不法薬剤の使用、性交渉等で一定の割合で新規HCV感染者が存在すると考えられる。初診時抗体価陰性である事もあり他の原因が否定されれば抗体価の再検、HCVRNA計測も検討すべきと考えられる。早期の治療介入により高率な排除も期待できる為、的確な診断が重要と考えられた。
索引用語 HCV, 急性肝炎