セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 115:

当院におけるC型慢性肝炎のIFN治療での血小板減少に対する脾臓摘出、PSEの比較検討

演者 田中 健士郎(小牧市民病院)
共同演者 舘 佳彦(小牧市民病院), 平井 孝典(小牧市民病院), 小原 圭(小牧市民病院), 小島 優子(小牧市民病院), 灰本 耕基(小牧市民病院), 佐藤 亜矢子(小牧市民病院), 飯田 忠(小牧市民病院), 和田 啓孝(小牧市民病院), 永井 真太郎(小牧市民病院), 濱崎 元伸(小牧市民病院), 望月 能成(小牧市民病院), 谷口 健次(小牧市民病院), 宮田 章弘(小牧市民病院)
抄録 【目的】C型慢性肝炎に対する抗ウイルス治療はペグインターフェロン、リバビリン、テラプレビルの3剤併用療法が標準的治療とされ、高い治療効果を得ている。しかしIFNは副作用に血小板減少作用があり、脾機能亢進を伴う血小板数低値のC型慢性肝炎患者は十分な治療を受けられない実情がある。今回我々は脾臓摘出術(脾摘術)もしくは部分的脾動脈塞栓術(PSE)施行後にIFN治療を施行されたC型慢性肝炎患者について、血小板減少を有する患者に対する有用性と長期予後の比較検討を行った。【方法】当院において2002年9月2日から2013年7月1日までの期間で、血小板減少を理由に脾摘術、PSEを施行後、IFN治療されたC型慢性肝炎患者31人(平均年齢58.9歳、男性18人/女性13人)を対象とした。【1】脾摘群とPSE群の施行前後の血小板値の変化量を比較検討した。【2】脾摘後IFN群とPSE 後IFN群それぞれの生命予後の検討をKaplan-Meier法、Log-rank testで解析した。【成績】平均観察期間は約5年6か月間であった。31人中、脾摘術が11例にPSEが20例に施行された。経過中肝臓関連死が7例、肝臓関連以外死が2例、肝移植術が1例に施行され、生存は22例に認められた。【1】脾摘群の平均血小板値は施行前が6300/μl、施行後が19100/μlで有意な増加を認め(P<0.01)PSE群でも施行前が5200/μlで施行後が11300/μlと、有意な増加を認めた(P<0.01)。また平均血小板増加量は脾摘群で有意に増加することがわかった(P<0.01)。【2】全症例での5年生存率は75%であった。5年生存率は脾摘群82%、PSE群71%であり両群間に有意差は認めなかった。【考案】血小板減少を伴う慢性C型肝炎のIFN治療において、脾摘群とPSE群で生存率には有意差はなかった。しかし脾摘群、PSE群ともに血小板は有意に増加するものの、その増加量は脾摘群の方が有意に増加しており、血小板減少に対する治療の第一選択として考慮すべきことがわかった。
索引用語 脾臓摘出, 血小板