セッション情報 一般演題

タイトル 008:

トラスツズマブが著効した胃癌の1例

演者 石塚 隆充(藤田保健衛生大学 消化管内科)
共同演者 柴田 知行(藤田保健衛生大学 消化管内科), 田原 智満(藤田保健衛生大学 消化管内科), 大久保 正明(藤田保健衛生大学 消化管内科), 角 一弥(藤田保健衛生大学 消化管内科), 市川 裕一朗(藤田保健衛生大学 消化管内科), 長坂 光夫(藤田保健衛生大学 消化管内科), 中川 義仁(藤田保健衛生大学 消化管内科), 中野 尚子(藤田保健衛生大学 消化管内科), 小村 成臣(藤田保健衛生大学 消化管内科), 鎌野 俊彰(藤田保健衛生大学 消化管内科), 生野 浩和(藤田保健衛生大学 消化管内科), 大森 崇史(藤田保健衛生大学 消化管内科), 城代 康貴(藤田保健衛生大学 消化管内科), 河村 知彦(藤田保健衛生大学 消化管内科), 宮田 雅弘(藤田保健衛生大学 消化管内科), 吉田 大(藤田保健衛生大学 消化管内科), 高川 友花(藤田保健衛生大学 消化管内科), 大宮 直木(藤田保健衛生大学 消化管内科), 平田 一郎(藤田保健衛生大学 消化管内科)
抄録 【目的】今回我々は他の抗癌剤では腫瘍縮小効果を認めなかったが、トラスツズマブを併用したことにより著明な腫瘍縮小効果を認めた胃癌の1症例を経験したので報告する。【症例】70歳代の男性。近医で高血圧および糖尿病に対して内服加療を行っていたところ、採血で肝機能異常を指摘された。精査・加療目的で当科受診。腹部超音波検査を施行し多発した肝腫瘍を認めた。転移性腫瘍が疑われたため原発巣検索のため胃内視鏡施行。胃体上部小弯側に2型腫瘍を認めた。生検では高分化型腺癌の診断。腫瘍マーカーもCEA 1348.0 ng/ml、CA19-9 27200.0 U/mlであった。腹部CTでは多発する肝腫瘍、胃小弯側に腫大したリンパ節も認めた。進行胃癌c-T4N2M1、stage 4と診断、化学療法の適応とした。臓器不全は見られずファーストラインとしてTS-1+CDDP(シスプラチン)のレジメンで治療開始。2クール終了した時点での効果判定は主病変、肝転移巣ともにPDの診断。セカンドラインとしてweekly PTX(パクリタキセル)とした。また効果判定時の生検検体でHER2測定したところ強陽性(3+)となりweekly PTX3クール目開始時点からトラスツズマブ併用開始。併用開始2クール後の効果判定では主病変、肝転移巣ともにPRの診断かつ腫瘍マーカーはCEA 47.0 ng/ml、CA19-9 1730.0 U/mlに減少。心エコーなどで心不全の徴候なく2013年10月時点でトラスツズマブ併用したweekly PTXは7クール終了。主病変および肝転移巣の増悪を認めていない。【結論】HER2陽性胃癌に対するトラスツズマブの生存改善効果は明らかでToGA試験で明らかとなっている。本症例では抗癌剤投与開始から生検検体でのHER2測定までに時間があった。TS-1+CDDPやweekly PTXでは腫瘍縮小効果がみられず、トラスツズマブの効果によると考えられる。またHER2陽性胃癌の頻度は食道胃接合部では33.2%、胃体部や前庭部では20%程度と陽性率は低い。胃癌の中でもHER2陽性の可能性が高い因子に関するさらなる検討が必要と思われる。
索引用語 胃癌, トラスツズマブ