セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | 069:健診で発見された1cm大の非典型画像を呈したIntraductal papillary-mucinous carcinoma(IPMC)の1例 |
演者 | 芳川 昌功(豊橋市民病院 消化器内科) |
共同演者 | 藤田 基和(豊橋市民病院 消化器内科), 浦野 文博(豊橋市民病院 消化器内科), 内藤 岳人(豊橋市民病院 消化器内科), 山田 雅弘(豊橋市民病院 消化器内科), 山本 英子(豊橋市民病院 消化器内科), 松原 浩(豊橋市民病院 消化器内科), 竹山 友章(豊橋市民病院 消化器内科), 田中 卓(豊橋市民病院 消化器内科), 廣瀬 崇(豊橋市民病院 消化器内科), 鈴木 博貴(豊橋市民病院 消化器内科), 木下 雄貴(豊橋市民病院 消化器内科) |
抄録 | 【はじめに】IPMNは2006年に初めて国際診療ガイドラインが発刊され,2012年に改訂されているが,分枝型で嚢胞径が1cm以下の場合は2~3年毎の経過観察で良いとされている.今回,健診の腹部エコーで1cm大の膵腫瘤を指摘され,手術後の病理結果がIPMCの結果であった1例を経験したので、貴重な症例と考え報告する.【症例】61歳女性【主訴】なし【既往歴】特記事項なし【生活歴】飲酒歴,喫煙歴ともになし【現病歴】2012年12月に受けた健診の腹部超音波検査で膵体尾部に腫瘤性病変を指摘され、当科を受診。当院での腹部超音波検査でも膵体部に不整形の境界明瞭な低エコー腫瘤を認め、造影CTでは膵体部にLDAを認め,多房性の嚢胞性病変の様にも認められた.EUSでは膵体部に境界明瞭な低エコー腫瘤を認め,基本的には充実性腫瘤で一部に嚢胞成分を有する腫瘤として描出され,Solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)や内分泌腫瘍も鑑別に挙がるが小膵癌を第一に疑った.ERCP,IDUS,膵液細胞診追加施行するも腫瘤と膵管との交通は認めず,確診は得られなかった。膵癌を第一に考え,SPNや非典型だが内分泌腫瘍も鑑別に挙げて,脾合併膵体尾部切除術を施行したところ,病理結果はintraductal papillary mucinous carcinomaの結果であった.【考察】本腫瘍はCTでは嚢胞様にも描出されるもEUSでは基本的に充実性腫瘤であり,ERCPでも膵管との交通は描出されず,IPMNを疑う所見に乏しく,手術前にはIPMNの疑いは低いと考えていた.このように腫瘤が小さい場合は特に非典型な画像を呈するIPMNも存在することを念頭に置くことが肝要であると考えられた.現在のIPMNの国際診療ガイドラインでは1cmまでの分枝型IPMNは経過観察で良いことになっているが,本腫瘍は1cmの大きさであるにも関わらず結果は浸潤癌であり,結果的には経過観察ではいけなかったことになる。このような非典型的な画像を呈するIPMNがあることを十分認識したうえで、非典型的な画像の嚢胞性腫瘤は,経過観察とせずに積極的に切除する必要性が示唆された。 |
索引用語 | 健診, IPMC |