セッション情報 一般演題

タイトル 060:

診断に苦慮し、腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した膵腫瘍の1例

演者 武内 泰司郎(三重中央医療センター 外科)
共同演者 信岡 祐(三重中央医療センター 外科), 草深 智輝(三重中央医療センター 外科), 谷川 寛自(三重中央医療センター 外科), 横井 一(三重中央医療センター 外科), 臼井 正信(三重大学医学部付属病院 肝胆膵・移植外科), 長谷川 浩次(三重中央医療センター 消化器内科), 渡辺 典子(三重中央医療センター 消化器内科), 竹内 圭介(三重中央医療センター 消化器内科), 亀井 昭(三重中央医療センター 消化器内科), 子日 克宣(三重中央医療センター 消化器内科)
抄録 症例は44歳女性。検診の胸部レントゲン検査にて異常陰影を指摘された。精査目的にCT検査を行ったところ偶然、膵体部に嚢胞性病変を認め当院に紹介となった。血液検査では腫瘍マーカーの上昇は認めなかった。腹部造影CT検査では膵体部に37mm大の多房性嚢胞性病変を認め、一部隔壁に造影効果を認めた。MRI検査では充実成分ははっきり認められなかったが嚢胞内容は拡散強調画像で軽度高信号を呈し、粘液成分が疑われた。ERCP検査では病変と主膵管には交通はなく、主膵管は腫瘤により圧排されており尾側膵管の軽度拡張を認めた。EUS検査では一部隔壁に造影効果を認めた。以上よりmucinous cystic neoplasm、その他の可能性としてIntraductal papillary mucinous neoplasm、solid pseudopapillary tumorなどのmalignancy potentialを有する嚢胞性病変と疑い腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行した。手術は4ポートで行い、脾臓は温存し、脾動静脈は切離した。手術時間:3時間13分、出血量60mlであった。術後3日目に経口摂取を開始し、術後経過良好にて術後8日目に退院となった。病理組織検査では腫瘍は境界明瞭で大きな嚢胞により構成されており、巨大な嚢胞の周囲にやや小型のcystic lesionを認めた。腫瘍細胞はclear cytoplasmを有し、核異型に乏しく、またmitosisはほとんど認められず、Serous Oligocystic adenomaの診断であった。術前検査にてmalignancy potentialを有する嚢胞性病変と診断、腹腔鏡下手術を行った膵腫瘍の1例を経験したので報告する。
索引用語 膵腫瘍, 腹腔鏡下膵体尾部切除術