セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 087:術前に盲腸軸捻転症と診断し手術した1例 |
演者 | 鈴木 雄飛(浜松医療センター 消化器外科) |
共同演者 | 林 忠毅(浜松医療センター 消化器外科), 山本 淳史(浜松医療センター 消化器外科), 中山 正彦(浜松医療センター 消化器外科), 中村 明子(浜松医療センター 消化器外科), 大菊 正人(浜松医療センター 消化器外科), 田村 浩章(浜松医療センター 消化器外科), 平山 一久(浜松医療センター 消化器外科), 金井 俊和(浜松医療センター 消化器外科), 徳永 祐二(浜松医療センター 乳腺外科), 池松 禎人(浜松医療センター 消化器外科), 西脇 由朗(浜松医療センター 消化器外科) |
抄録 | 症例は80歳代の男性。既往に潰瘍性大腸炎、認知症等があった。平成25年6月、突然腹痛を自覚し、経過観察にて症状は一時軽快したが、6時間後に嘔吐、下痢を伴う腹痛が再度出現した。同日近医で小腸イレウスと診断し、当院に救急搬送された。来院時、腹部は膨満し、心窩部から左上腹部に圧痛を認めていたが反跳痛は認めなかった。腸蠕動音はやや低下していた。腹部造影CTにて、著明な小腸の拡張と右上腹部にcoffee-bean 様に拡張した結腸のclosed loopや、whirl signが認められたが、明らかに腸管の虚血を示す所見は認められなかった。盲腸軸捻転症による絞扼性イレウスの診断で同日緊急手術を施行した。開腹時に中東量の黄色腹水を認めた。右上腹部に盲腸の捻転が認められた。回盲部は尾側から見て時計回りに360度捻転していた。捻転を解除し再度腸管を検索したが腸管の虚血性変化はなく穿孔も認められなかった。移動性盲腸に併発した盲腸軸捻転症と診断した。盲腸から上行結腸にかけて結腸紐と後腹膜を縫合固定した。術後16日目に軽快退院となった。盲腸軸捻転症は移動性盲腸を主因に腹腔内の癒着、長期臥床、精神神経系疾患、妊娠などを契機に発症する急性腹症で、本邦での頻度は少ない。腹部CTでのwhirl sign、注腸造影でのbird`s beak signなどの特徴的な画像所見があるが、術前に確定診断に至る症例は少なく、しばしば診断に難渋する。腸管壊死、穿孔例ではもちろんのこと、再発防止のために回盲部切除を推奨している報告もある。本症例では高齢であり術後合併症を最小限に抑えるため盲腸固定術を選択した。今回我々は、術前に診断し治療し得た盲腸軸捻転症の1手術例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 大腸穿孔, 胆管ステント |