セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル 099:

多発性巨大肝血管腫の1例

演者 久野 真史(岐阜大学 医学部 腫瘍外科)
共同演者 佐々木 義之(岐阜大学 医学部 腫瘍外科), 八幡 和憲(岐阜大学 医学部 腫瘍外科), 棚橋 利行(岐阜大学 医学部 腫瘍外科), 市川 賢吾(岐阜大学 医学部 腫瘍外科), 森光 香澄(岐阜大学 医学部 腫瘍外科), 今井 寿(岐阜大学 医学部 腫瘍外科), 名和 正人(岐阜大学 医学部 腫瘍外科), 田中 善宏(岐阜大学 医学部 腫瘍外科), 松橋 延壽(岐阜大学 医学部 腫瘍外科), 奥村 直樹(岐阜大学 医学部 腫瘍外科), 矢野 佳子(岐阜大学 医学部 腫瘍外科), 高橋 孝夫(岐阜大学 医学部 腫瘍外科), 山口 和也(岐阜大学 医学部 腫瘍外科), 長田 真二(岐阜大学 医学部 腫瘍外科), 二村 学(岐阜大学 医学部 腫瘍外科), 吉田 和弘(岐阜大学 医学部 腫瘍外科)
抄録 【緒言】肝血管腫は比較的頻度の高い疾患であり典型的な画像所見のものであれば診断に迷うことは少ないが、時に悪性腫瘍との鑑別が困難な症例も存在する。今回診断に苦慮した多発性巨大肝血管腫の外科的切除を経験したため若干の文献的考察を加え報告する。【症例】40歳代男性。特記すべき既往歴、家族歴なし。2013年5月頃から心窩部痛、食欲不振有り、近医にて腹部単純CT施行され肝腫瘍を指摘され精査加療目的にて当科紹介受診となった。腹部造影CTにおいてはS2、S4、S8にそれぞれ7cm、15cm、10cm大の境界明瞭な多血性腫瘤を認めた。辺縁から濃染し平衡相にかけて内部に比較的均一な造影増強効果を認め腫瘍内部には非常に発達した血管を認めた。造影MRIにおいてはいずれの腫瘤も被膜を有し内部はT2WIで高信号を示し、辺縁から徐々に染まるものの肝血管腫に特徴的な結節状濃染や分葉状形態も見られなかった。FDG-PET-CTにおいては腫瘍へのFDG集積を認めなかった。以上より第一に血管腫を疑う所見ではあるものの血管肉腫や胆管細胞癌などの悪性疾患の否定まではできなかった。血液検査においては腫瘍マーカーのCEA、AFP、PIVKA-ΙΙは全て正常値であった。血小板は10万/μLと低値を認めた。6月にCTAP、CTAを施行した。CTAPでは後期相まで腫瘍の造影効果を認めなかった。CTAでは腫瘍内部への著明な血管増生を認め周囲肝に比べ不均一に強い造影効果を示した。左3区域切除術を計画し残肝の肥大目的に7月にTIPEを試みたが、門脈本幹の圧が27mmHgと高値であり施行できず、生検の再検のみ行った。生検結果は小血管の集簇を認め血管腫の一部としても矛盾はないが確定は難しいとのことであった。以上の経過より良性腫瘍を念頭に置いて手術計画を見直し8月に拡大左葉切除術を施行した。術後経過は良好であり術後8日目に退院となった。病理結果はcavernous hemangiomaであった。【結語】診断に苦慮した多発性巨大肝血管腫の外科的切除例を経験した。
索引用語 肝血管腫, 肝腫瘍