セッション情報 一般演題

タイトル 022:

総胆管結石、胆管癌と鑑別を要したIgG4関連硬化性胆管炎の1例

演者 林 祐一(名古屋徳洲会総合病院)
共同演者 高山 悟(名古屋徳洲会総合病院), 今藤 裕之(名古屋徳洲会総合病院), 永井 進吾(名古屋徳洲会総合病院), 坂本 雅樹(名古屋徳洲会総合病院), 可児 久典(名古屋徳洲会総合病院)
抄録 症例は83歳女性。既往は高血圧症、高尿酸血症、胃食道逆流症。坐骨神経痛にて整形外科入院中、肝胆道系障害を指摘され内科紹介、腹部症状は特になく、また黄疸を認めなかった。CT精査にて肝門部胆管異常を指摘、当初肝門部胆管癌を疑われ当科依頼となった。MRCPを施行したところ、下部胆管に総胆管結石を認め、また総胆管の全周性壁肥厚、肝内胆管の分節狭窄、一部枯れ枝状を認めた。CEA、CA19-9、AFPなど腫瘍マーカーの上昇を認めなかった。ERCPならびにESTを施行し下部胆管結石を除石、その際の胆管造影にて肝内胆管の数珠状、びまん性狭窄を認めた。同時に胆管生検、胆汁細胞診をおこなった。総胆管除石後、肝胆道系酵素は一時的に改善したが、依然高値で推移した。免疫学的検査では、IgG4が271mg/dlと高値で、抗ミトコンドリア抗体は陰性であった。胆汁細胞診は陰性であった。胆管病理ではIgG4陽性形質細胞の浸潤を認めず、胆管炎以外のIgG4関連疾患を認めなかったが、総合的にIgG4関連硬化性胆管炎と診断した。IgG4関連硬化性胆管炎は自己免疫性膵炎を高率に合併すると言われているが、本症例のように他のIgG4関連疾患を認めず、硬化性胆管炎のみを呈する症例の報告も多い。その場合鑑別として、胆管癌や原発性硬化性胆管炎、総胆管結石などを除外する必要がある。今回、鑑別を要したIgG4関連硬化性胆管炎の1例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 肝機能障害, IgG4関連硬化性胆管炎