| 抄録 |
異所性ACTH産生腫瘍は稀な疾患で、下垂体腫瘍以外の腫瘍からの過剰なACTH産生に起因する種々の症状を認める。今回我々は、異所性ACTH産生膵神経内分泌腫瘍の一例を経験したので報告する。症例は31歳、男性。2006年11月頃より全身浮腫、高血圧が出現したため近医を受診し、採血検査にてACTH、コルチゾールの著明な増加を認めたが、頭部MRIでは下垂体腫瘍は認めず、Venous samplingでも下垂体からのACTH産生過剰は証明されなかった。PET-CTにて膵体部に集積像を認めた。Dynamic CTでも同部に膵腫瘍を認め、精査加療目的に当院紹介受診となった。当院Dynamic CTでは膵体部に13mm大の辺縁部が強く造影され、内部は周囲膵実質と同程度まで造影される腫瘍を認めた。MRI拡散強調像では同部位は淡い高信号を呈していた。EUSでは輪郭明瞭で一部不整な低エコー腫瘍として描出された。造影EUSでは造影早期より強く染影され染影効果は持続した。ERP像では主膵管に異常は認めなかった。以上の検査より異所性ACTH産生膵神経内分泌腫瘍が疑われ、当院外科にて膵腫瘍核出術をおこなった。病理組織学的には、クロモグラニン陽性、シナプトフィジン陽性、ACTH陽性のACTH産生膵神経内分泌腫瘍であった。切除後、ACTH、コルチゾールは速やかに低下し正常値まで改善した。 |
