セッション情報 シンポジウム1「消化器診療におけるイノベーション」

タイトル S1-9:

胆管挿管不能例に対する超音波内視鏡下胆管胃吻合術(EUS-guided Hepaticogastorostomy)の有用性と手技の工夫

演者 小倉 健(大阪医科大学附属病院 第二内科)
共同演者 増田 大介(大阪医科大学附属病院 第二内科), 井元 章(大阪医科大学附属病院 第二内科), 梅垣 英次(大阪医科大学附属病院 第二内科)
抄録 [背景・目的]超音波内視鏡下胆管胃吻合術(EUS-HGS)は、主に切除不能悪性胆道閉塞に対する胆管挿管不能例や、消化管通過障害、術後再建腸管に対するPalliativeな新規の胆道ドレナージ法として注目されている。しかし、その手技は比較的困難で、各々の施設によりその手法は異なっているのが現状である。また、特に重篤な偶発症として、ステントの迷入や穿刺に伴う気胸が挙げられる。そこで、我々がこれらの偶発症を極力回避する為に行っているEUS-HGSの手技の工夫を供覧し、その成績を検討することを目的とした。[対象・方法]2012年4月から10月までで、当院でEUS-HGSを施行した6例(男:女=2:4、平均年齢 62.0 ± 10.6歳)を対象とした。EUS-HGSの際には、AあらかじめEGJ直下にクリッピングを行う。B瘻孔拡張は種々の利点からMTW社製のERCPカテーテルと4mm径の胆管拡張用バルーン。Cステントの選択は、可能な限り長径の長いメタリックステント。Dステントリリースは必ず食道内まで引っ張り上げて行う。等といった工夫を行った。[成績]1 疾患の内訳は、膵癌が3例、胃癌術後再発が2例、胆管癌が1例であった。2 手技施行の内訳は、乳頭到達不可が5例(再建腸管2例)、胆管深部挿管不能が1例であった。3 十二指腸ステントを併用した症例は2例であった。4 Technical success rateおよびFunctional success rateは100%(6/6)であった。5 偶発症として、1例に遅発性迷入(手技2日後)が認められたが、ステントの追加で対処可能であった。[結語]遅発性迷入に関してはステントの改良が必要であると考えられた。しかし、少数例での検討ではあるが、EUS-HGSの手技成功率は高く、当科で施行している工夫を行えば早期偶発症は回避できるものと考えられ、EUS-HGSは新規の胆道ドレナージ法として確立する可能性があることが示唆された。更に症例数を重ねて報告したい。
索引用語 EUS, EUS-HGS