セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F2-9:

空腸管状絨毛腺腫内癌による腸重積の1手術例

演者 山本 研人(川崎病院 消化器内科)
共同演者 竹内 庸浩(川崎病院 消化器内科), 青木 領太(川崎病院 消化器内科), 西田 悠(川崎病院 消化器内科), 野村 祐介(川崎病院 消化器内科), 前田 哲男(川崎病院 消化器内科), 多田 秀敏(川崎病院 消化器内科), 井上 善文(川崎病院 外科), 那波 一理(川崎病院 臨床検査科), 仙波 秀峰(神戸大学大学院医学研究科 病理学講座病理学分野)
抄録 【症例】73歳男性【主訴】嘔気・嘔吐,腹部膨満【既往歴】糖尿病,高血圧(内服治療),脳梗塞後遺症でダビガトランを服用していた.【現病歴】2~3日前より嘔気・嘔吐が出現し,腹部膨満を伴ったため2012年8月18日当院受診した.【現症】血圧 131/66mmHg,脈拍 91/分,SpO2 96%,体温 35.6℃.腹部に膨満を認めるが,弾性・軟で圧痛なし.【血液検査所見】Cre 1.12mg/dl, Glu 206mg/dlと高値.腫瘍マーカーCEA, CA19-9は正常範囲内.【経過】腹部単純CTで,空腸に重積を疑う所見を認めた.腹部造影CT,腹部エコーでtarget-like sign,multiple concentric ring signを認め小腸重積と診断した.腸閉塞の所見は認めなかった.絶食・輸液にて経過をみたが,腸重積は自然整復されず,診断・治療目的に入院第6日目に開腹手術を施行した.【手術所見】トライツ靭帯より30cm肛門側に腫瘍による硬結を認めたが,重積は認めなかった.腫瘍より5cmマージンをとり,病巣部を含めて空腸を19cm部分切除した.腫瘍は35×50mmの大きさで全体的に柔らかく結節状に側方に広がっていた.漿膜面には浸潤を認めなかった.病巣部を含めた空腸を19cm切除し機能的端々吻合を行った.病理組織所見で,大部分が管状絨毛腺腫であり,その中に構造異型が目立つ高分化型腺癌を一部に認め,粘膜下層への浸潤も認められた.脈管への侵襲は認められなかった.術後経過は良好で,合併症なく9月中旬独歩退院した.【考察】今回われわれは,空腸管状絨毛腺腫内癌による腸重積の1手術例を経験したので報告する. 
索引用語 小腸重積, 空腸管状絨毛腺腫内癌