セッション情報 一般演題

タイトル 47:

リンパ節転移を来した直腸カルチノイドの1例~形態診断を中心に~

演者 佐野村 誠(北摂総合病院 消化器内科)
共同演者 西川 知宏(北摂総合病院 消化器内科), 原 あずさ(北摂総合病院 消化器内科), 吉田 紘子(北摂総合病院 消化器内科), 中 悠(北摂総合病院 消化器内科), 高橋 良明(北摂総合病院 消化器内科), 佐々木 有一(北摂総合病院 消化器内科), 西口 完二(北摂総合病院 一般・消化器外科), 森川 浩志(森川クリニック), 江頭 由太郎(大阪医科大学 病理学教室), 樋口 和秀(大阪医科大学 第2内科)
抄録 【症例】66歳,女性【主訴】血便【既往歴・家族歴】特記すべきことなし【現病歴】2011年10月頃から時々少量の血性の粘液便を認め,12月頃から血便を認めるようになったため,2012年1月当科外来を受診した.【注腸X線検査】直腸Rb 後右壁に17mm大の隆起性病変を認め,立ち上がりは粘膜下腫瘍様で,亜有茎性の形態を示していた.腫瘍表面には不整な浅い陥凹を有し,側面像にて変形を認めた.【大腸内視鏡検査】直腸Rb 後右壁 AVから約10cm, 歯状腺から約5cmに18mm大の亜有茎性病変を認め,表面は不整な陥凹を伴い,陥凹面には明らかな蚕食像を認めなかった.クリスタルバイオレット染色による拡大観察にて辺縁はI型pit pattern,NBI拡大観察にて広島分類Type Aであり,正常粘膜に覆われていた.陥凹部は拡大観察にてpit構造は認められず,NBI拡大観察にて不整のない血管構造がみられた.鉗子圧迫にて腫瘍の可動性は乏しく,Cushion sign陰性であり,直腸カルチノイドの像と診断した.【超音波内視鏡検査】腫瘍は第3層を主座とする低エコー域として描出され,膨張性発育を示し,SM3まで達していた.腫瘍の立ち上がりは第1,2層まで描出され,粘膜下腫瘍様の形態を示しており,カルチノイドの像として矛盾しなかった.【病理組織】当院消化器外科にて腹腔鏡下超低位前方切除術を施行し,病理組織はCarcinoid (NET Grade 1), Rb, pSM 8,000μm, ly1, v1, INF a, med, N1, Stage IIIa)とカルチノイドのリンパ節転移を認めた.【まとめ】今回我々はリンパ節転移を来した直腸カルチノイドの1例を経験した.形態が直腸カルチノイドとしては非典型的な亜有形性であり,拡大観察も含めてIp+IIc型の大腸癌との鑑別が問題となる症例であり,その形態診断を中心にリンパ節転移を伴う直腸カルチノイドの文献的考察を含めて報告する.
索引用語 直腸カルチノイド, リンパ節転移