セッション情報 |
ワークショップ2「食道癌の集約的治療の新たな展開」
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タイトル |
W2-1:食道癌ESD後狭窄の予防に対するステロイド局注の有用性
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演者 |
鼻岡 昇(大阪府立成人病センター 消化管内科) |
共同演者 |
石原 立(大阪府立成人病センター 消化管内科), 飯石 浩康(大阪府立成人病センター 消化管内科) |
抄録 |
【目的】広範な食道癌に対するESDは術後狭窄が高頻度に発症するが、ステロイドの投与が狭窄予防に有用であると報告された。それにより病変の周在に関する制限はなくなったものの、3/4周以上の広範切除になる場合は狭窄予防が必要である(食道癌診断・治療ガイドライン:日本食道学会2012年4月版)。今回、広範な食道癌に対するESD+ステロイド局注の有用性を検討した。【方法と対象】2010年まではステロイドの局注は施行しておらず、この期間にESD後の周在が3/4周以上となった症例29例を対照群とした。2010年以降は切除後の周在が3/4を超える場合、ステロイド局注を併用しており、2012年10月までに行った62症例を試験群とした。ステロイドの局注方法:20mlのトリアムシノロンアセトニド水溶性懸濁液(5mg/ml)を作成し、23Gの局注針でESD直後の粘膜下層に0.5~1.0mlずつ局注した。局注する場所は潰瘍の辺縁(全周)と潰瘍底とした。ステロイドの投与回数は治療直後1回のみとし、予防的なバルーン拡張術は行わないこととした。狭窄症状出現時は内視鏡検査を行い、狭窄の有無を評価した。狭窄の定義は固形物の通過障害を認める場合、または内視鏡(XQ240:径9.2mm)が通過しない場合とした。評価項目はESD後の狭窄率、バルーン拡張の回数、有害事象発生頻度とした。【結果】狭窄率は対照群で66%(19/29)、試験群で19%(12/62)(p<0.0001)だった。狭窄症例に対するバルーン拡張術の回数(平均、範囲)は対照群で5.2(1-15)回、試験群で3.0(0-9)回(p=0.07)だった。試験群における有害事象は術後出血を治療後1週間目に、食道裂傷を経過観察時にそれぞれ2例認めた。 試験群において予防的な追加CRTを施行したのは13例で、全例ESD後2カ月で施行されていた。【結語】広範な食道癌に対する内視鏡治療はステロイドを併用することで狭窄を予防できた。また、術後病理診断に基づき追加のCRTを行う場合も遅滞なく遂行することが可能だった。 |
索引用語 |
ケナコルト, 食道狭窄 |