セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | F5-6:造影EUSにより治療方針が決定した2例 |
演者 | 富永 智(大阪医科大学附属病院 第二内科) |
共同演者 | 井元 章(大阪医科大学附属病院 第二内科), 増田 大介(大阪医科大学附属病院 第二内科), 小倉 健(大阪医科大学附属病院 第二内科), 瀧井 道明(大阪医科大学附属病院 第二内科), 梅垣 英次(大阪医科大学附属病院 第二内科), 栗栖 義賢(大阪医科大学附属病院 病理学教室), 樋口 和秀(大阪医科大学附属病院 第二内科) |
抄録 | 【目的】胆膵疾患の診断において超音波内視鏡検査(以下EUS)は今や必須の検査法であるといえる。近年では更なる診断能の向上を目的に造影EUSが普及し、その有用性が多数報告されている。今回我々は、造影EUSにより治療方針が決定した2症例を経験したため報告する。【方法】超音波内視鏡はOlympus社製のUCT260、超音波観測装置はAloka社製のProsound SSD-α10を用いた。造影剤にはSonazoid○Rを用いた。【結果】症例1:64歳、男性。数週間持続する心窩部痛を主訴に受診された。腹部USでは、膵体部に25mm大の充実性腫瘤が認められた。腹部CTでは、腫瘤内に石灰化が認められ、造影では淡い造影効果が疑われた。Solid-pseudopapillary tumorなどの膵腫瘍を疑い、EUS-FNAを予定した。EUSでは、同様に膵体部に充実性腫瘤を認め、辺縁にlateral shadowを有し、内部には壊死を疑う無エコー域が認められた。また、脾動脈への浸潤による瘤形成が疑われた。しかし、造影EUSを行うと腫瘤に造影効果はなく、充実部は血栓と判断し、脾動脈瘤と診断した。血管塞栓術を施行し、再発なく経過中である。症例2:52歳、男性。閉塞性黄疸を主訴に受診。腹部CTでは、膵頭部に比較的境界明瞭な低吸収域として認識される30mm大の腫瘤が認められた。MRIでは内部は一部不均一であり、T1、T2強調画像ともに軽度~中等度高信号を呈していた。EUSでは充実性腫瘤として描出され、内部には壊死を疑う無エコー域も認められた。ERCPでは、下部胆管に壁外性の圧排狭窄を認め、主膵管も膵頭部で狭小化していた。EUS-FNAに先立ち施行した造影EUSでは、同腫瘤に造影効果は全くなく、膵仮性嚢胞と診断し、EUS-guided cystic drainageを施行した。内溶液は、淡血性・泥状で、嚢胞内溶液分析では、著明な膵酵素高値を認めた。内溶液中に異型細胞は認められず、細菌培養も陰性であった。【結論】造影EUSは、腫瘤の血流の評価に有用であり、診断困難な症例には施行すべき検査法であると考えられた。 |
索引用語 | 膵腫瘤, 超音波内視鏡(EUS) |