セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y1-8:

虫垂粘液嚢腫の一例

演者 平松 由紀子(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科)
共同演者 北村 悟(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 中井 敦史(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 山崎 友裕(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 菱谷 英里子(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 生田 耕三(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 出田 雅子(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 山内 雄揮(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 野本 大介(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 梅田 誠(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 川崎 公男(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 松村 毅(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 斉田 宏(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科), 木村 利幸(兵庫県立尼崎病院 消化器センター 消化器内科)
抄録 【症例】74歳女性【主訴】なし【既往歴】子宮頸癌(放射線化学療法後)、放射線直腸炎、尿管結石、糖尿病、高血圧、高脂血症、骨粗鬆症【生活歴】<喫煙>なし <飲酒>なし【現病歴】尿路結石にて当院泌尿器科通院中に腹部CTにて骨盤内嚢胞性病変を指摘され当科受診【血液検査】WBC 6100/ml、CRP 0.1mg/dl、CEA 5.0ng/ml、CA 19-9 38.2U/ml【CT】骨盤右側に盲腸に連続する7cm大の嚢胞性腫瘤を認める【経過】腹部エコーにて55x42mm大の骨盤内嚢胞性病変を認め、嚢胞底部には高輝度貯留物を認めた。下部消化管内視鏡検査では虫垂開口部は20mm大の半球状の隆起を呈し、粘膜は白色顆粒状であった。白色顆粒状粘膜からの生検組織はTubular adenomaであった。注腸透視では盲腸に20mm大の半球状隆起性病変を認め、虫垂は描出されなかった。以上の検査結果から虫垂粘液嚢腫と診断し、当院外科にて開腹下回盲部切除術を施行。虫垂根部を中心に鶏卵大の腫瘤を認めた。虫垂腫瘍内部にはゼリー状の粘液が多量に貯留し、軽度の異型に留まる粘液産生性高円柱上皮の増生を認めた。腫瘍の破綻は認めず病変は虫垂に限局しておりmucinous cystadenomaの診断。術後約2か月が経過したが再発を疑う所見は認めていない【考察】虫垂粘液嚢腫は虫垂病変では稀な疾患であり虫垂切除例の0.07~0.3%と報告されている。原因は炎症、屈曲、捻転、回盲部腫瘍などにより虫垂根部が無菌的に閉塞し、内腔粘膜から粘液が持続的に産生されることにより生じる。破綻や粘液の漏出により癌性腹膜炎の一亜型とされる腹膜偽粘液種を形成する。その予後は不良で5年生存率は53~75%、10年生存率は10~32%と報告され、慎重な手術操作が必要とされている。今回我々は虫垂粘液嚢腫の一例を経験したため文献的考察を加え報告する。
索引用語 虫垂粘液腫, 診断