セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 56:先天性肝線維症の一例 |
演者 | 水野 直樹(京都市立病院 消化器内科) |
共同演者 | 久野 寧子(京都市立病院 消化器内科), 川本 雄規(京都市立病院 消化器内科), 岡本 直樹(京都市立病院 消化器内科), 高井 孝治(京都市立病院 消化器内科), 元好 貴之(京都市立病院 消化器内科), 西方 誠(京都市立病院 消化器内科), 山下 靖英(京都市立病院 消化器内科), 桐島 寿彦(京都市立病院 消化器内科), 吉波 尚美(京都市立病院 消化器内科), 新谷 弘幸(京都市立病院 消化器内科) |
抄録 | 【症例】39歳、女性。【現病歴】生後3カ月時より反復性水様下痢、低アルブミン血症、低血糖、肝腫大を指摘されていた。6歳時より進行性の脾種を認め、11歳時には上部消化管内視鏡にてF2、Cb、Rc(+)の食道静脈瘤を指摘された。12歳時に開腹肝生検を施行され、肉眼的には肝表面は赤みが混じった灰白色調で硬結を認めた。組織学的には、成熟した膠原組織から成る線維性隔壁によって区画されており、胆管の嚢胞状、乳頭状増殖と門脈域の著明な拡大を認め、先天性肝線維症の診断となった。CT、エコーにて肝、腎ともに嚢胞性病変は認めなかった。肝移植は希望されずに保存的加療を継続した。経時的に上部消化管内視鏡を行い、食道静脈瘤に著明な変化は認めなかった。29歳より2型糖尿病を発症し、慢性腎不全となり30歳時より維持透析導入し、その後肝性脳症等で入退院を繰り返していた。39歳に転倒し骨盤骨折を機に入院となった。【入院後経過】入院後、感染を契機に多臓器障害を認め、黄疸、NH3上昇、PT低下傾向となった。血圧低下を認め、透析困難、BSCとなり第110病日に永眠された。その後、ご遺族の同意のもとに屍検を施行した。肝組織には生検時と同様の膠原線維組織を認め、肝実質にかけて好中球、単核球浸潤を認めた。【考察】病理組織所見を経時的に比較したところ、診断時より28年間、肝線維化は緩徐に進行している印象であった。本症例では、肝線維化は早期の段階で進行し、以降は門脈圧亢進による症状を主体として、比較的緩徐な経過を辿ったことが示唆された。【結語】近年、肝胆道系の画像診断の進歩により診断数が増加している線維性多嚢胞性疾患(fibrocystic disease)のうち、先天性肝線維症について、組織学的に経過を追えた症例を報告する。 |
索引用語 | 先天性肝線維症, 線維性多嚢胞性疾患 |