セッション情報 一般演題

タイトル 40:

漢方薬の関与が疑われた特発性腸間膜静脈硬化症の一例

演者 鈴木 教久(学研都市病院 内科・消化器科)
共同演者 森 康二郎(学研都市病院 内科・消化器科), 竹村 俊樹(学研都市病院 内科・消化器科)
抄録 【症例】45歳女性【主訴】心窩部痛【既往歴】アトピー性皮膚炎にて近医より10年以上、抗ヒスタミン剤、漢方薬(梔子柏皮湯、黄連解毒湯、桔梗石膏、四物湯)内服加療、ステロイド外用薬使用中【現病歴】2011年5月より時々心窩部痛を訴え近医受診し、上部消化管内視鏡検査は異常認めず、腹部エコーにて腸管壁の肥厚を指摘されていた。その後も月2-3回の割合で心窩部痛が出現したため、10月に近医受診し、便潜血陽性を認め、大腸内視鏡検査目的にて11月当院紹介となった。【経過】大腸内視鏡検査上、横行結腸中部より盲腸にかけて粘膜は浮腫、暗赤色の色調、静脈拡張像を認め、バウヒン弁よりすぐ肛門側の上行結腸の腸間膜付着側に狭窄、厚い白苔を有する潰瘍を認めた。腹部CT上、上行結腸の壁肥厚と、腸管壁内、腸間膜内に線状の石灰化像を認めた。病理組織検査上、粘膜固有層に好酸性無構造物の沈着(コンゴレッド染色は陰性)、静脈壁の著明な線維性肥厚、閉塞を認めた。以上より特発性腸間膜静脈硬化症と診断した。漢方薬をすべて中止し、入院の上、絶食、経腸栄養剤内服にて経過みるも、2週間後の内視鏡所見上、明らかな改善は認めず退院。翌年1月に5-ASA内服を開始し、3月の大腸内視鏡検査上、ごくわずかに発赤、潰瘍所見の改善を認め、腹部CT上も明らかな増悪所見はなし。現在まで症状なく経過観察している。特発性腸間膜静脈硬化症は比較的まれな原因不明の腸疾患であるが、最近、漢方薬の長期服用例の報告が増加している。今回、アトピー性皮膚炎に対して使用された漢方薬の関与が疑われる特発性腸間膜静脈硬化症を経験した。若干の文献的考察を含めて報告する。
索引用語 特発性腸間膜静脈硬化症, 漢方薬