セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | F4-5:C型慢性肝炎に対するペグインターフェロン・リバビリン併用療法直後に発症した結核性腹膜炎の1例 |
演者 | 福場 遼平(奈良県立医科大学 消化器内分泌代謝内科) |
共同演者 | 瓦谷 英人(奈良県立医科大学 消化器内分泌代謝内科), 久保 卓也(奈良県立医科大学 消化器内分泌代謝内科), 賀屋 大介(奈良県立医科大学 消化器内分泌代謝内科), 相原 洋祐(奈良県立医科大学 消化器内分泌代謝内科), 森岡 千恵(奈良県立医科大学 消化器内分泌代謝内科), 野口 隆一(奈良県立医科大学 消化器内分泌代謝内科), 美登路 昭(奈良県立医科大学 消化器内分泌代謝内科), 吉治 仁志(奈良県立医科大学 消化器内分泌代謝内科), 福井 博(奈良県立医科大学 消化器内分泌代謝内科) |
抄録 | 【症例】74歳 女性【既往歴】特記なし【輸血歴】なし【現病歴】平成19年よりC型慢性肝炎を指摘されており、平成23年3月に近医より当科に紹介となった。ジェノタイプIbの高ウイルス量であり同年6月よりPeg-IFNα2b 40μgおよびリバビリン600mgを開始した。HCV-RNAは9週目より陰性化しその後も陰性を持続していた。48週間投与終了前後より発熱、腹部膨満感が出現した。抗生剤を投与したが、発熱は改善せず、腹部膨満感が増強したため平成24年8月上旬に再度当院を受診した。腹部の圧痛は認めないが、造影CTにて腹水および腹膜の肥厚を認め、腹水の性状は滲出性であった。特発性細菌性腹膜炎が疑われたため同日緊急入院し、抗生剤治療を開始した。腹水の培養は陰性で、腹水中のマーカーはCA125が13993 U/ml、ADAが682 U/mlと高値を呈しており、ヒアルロン酸は35840 ng/mlであった。全身CT・MRI・PET検査を行ったが下腹部に腹膜の肥厚を認めるのみであった。上・下部消化管内視鏡検査でも腫瘍は認めなかった。結核抗原特異的IFN-γ(QTF)は陽性で、抗生剤にて発熱が改善しないことなどから結核性腹膜炎が疑われた。しかし、腹水や種々の培養検査にて結核菌を同定できず、結核性腹膜炎の確定診断には至らなかった。この為、第20病日に腹腔鏡下腹膜生検を施行した。腹壁全体に栗粒大の白色結節が多発しており結核性腹膜炎の所見を呈していたが、培養検査にて結核菌は同定できなかった。組織にて非乾酪性肉芽腫、壊死巣を認めたため、最終的に結核性腹膜炎と診断した。ただちに抗結核薬3剤による化学療法および腹膜癒着予防のためステロイドの投与を開始した。治療後速やかに解熱し、3か月後には腹水も消失し、外来にて治療を継続している。【結語】今回我々は、腹腔鏡にて典型的な所見を呈したC型慢性肝炎に対するペグインターフェロン・リバビリン併用療法直後に発症した結核性腹膜炎の1例を経験した。インターフェロン治療後に結核を発症する症例はまれであり、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | 結核性腹膜炎, 腹腔鏡 |