共同演者 |
北村 悟(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 中井 敦史(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 山崎 友裕(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 菱谷 英里子(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 平松 由紀子(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 生田 耕三(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 山内 雄揮(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 野本 大介(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 梅田 誠(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 川崎 公男(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 松村 毅(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 斉田 宏(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 木村 利幸(兵庫県立尼崎病院 消化器内科) |
抄録 |
[はじめに]肝円索膿瘍は急性腹症に含まれる疾患であるが,稀であり報告例が極めて少ない.今回画像上診断しえた肝円索膿瘍の一例を経験したので報告する.[症例]78歳男性[主訴]腹痛[現病歴]2011.10月末より上腹部痛出現.11/1腹痛増強あり他院へ救急搬送。腹膜刺激症状を伴い,CECTで門脈血栓症が疑われ同日当院搬送となった.[既往歴]76歳正常圧水頭症[入院時現症/検査]血圧134/69mmHg,脈拍102bpm,体温36.9℃,腹部:心窩部-臍上部に限局して圧痛を伴う索状硬結を触知,反跳痛あり,臍上部に紫斑を認めた. WBC19500/μl, CRP28.94mg/dl,T-bil3.4mg/dl,Amy/Lip98/32IU/l,CECT:肝臍部-肝円索に沿って脂肪織濃度上昇伴う軟部影を認めた.門脈血栓は認めず.膵頭部腹側に脂肪織上昇あるが膵腫大は明らかでなかった.胆嚢壁肥厚と内部に胆泥貯留を認めた.肝円索に沿った軟部陰影は,USで血流の乏しい内部に高~低エコー混在した縞模様構造物として,MRIでT1高信号/T2低信号として,Gaシンチで同部にGa高集積を認めた.保存的加療開始にて血液検査・腹部症状ともに漸次改善した.画像所見および臨床経過より,胆嚢炎に伴う肝円索膿瘍と診断した.[経過]飲食開始後,腹部症状や画像上膿瘍の悪化を認めず22日目に退院となった.退院1週間後より心窩部痛が出現し,2週間後に膵酵素上昇とCTで胆嚢腫大と膵頭部腫大・周囲脂肪織濃度上昇を認め再入院となった.肝円索膿瘍にサイズ変化はないが,胆嚢炎,急性膵炎と診断し,当院外科にて肝円索切除および胆嚢摘出術を施行した.腹膜前脂肪織は黒色変化し炎症波及と思われた.肝円索靭帯に沿って約25cmの棍棒状腫瘤を認め切離剥離し摘出した.胆嚢摘出も行い内部に胆泥充満を認めた.病理所見は線維化と壊死性変化を伴う膿瘍組織であった. |