セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | F2-3:ステロイドパルス治療で寛解した慢性活動性EBウイルス(CAEBV)感染症関連腸炎の一例 |
演者 | 福岡 誠(大阪労災病院 消化器内科) |
共同演者 | 末吉 弘尚(大阪労災病院 消化器内科), 小森 真人(大阪労災病院 消化器内科), 岡原 徹(大阪労災病院 消化器内科), 中村 昌司(大阪労災病院 消化器内科), 鈴木 麻菜(大阪労災病院 消化器内科), 吉井 俊輔(大阪労災病院 消化器内科), 有本 雄貴(大阪労災病院 消化器内科), 平尾 元宏(大阪労災病院 消化器内科), 山本 俊祐(大阪労災病院 消化器内科), 佐藤 雅子(大阪労災病院 消化器内科), 法水 淳(大阪労災病院 消化器内科), 吉原 治正(大阪労災病院 消化器内科) |
抄録 | 症例は57歳男性。2010年、発熱・腹痛・嘔吐・頻回の水様便を主訴に当科紹介受診、精査・加療目的に入院となった。下部消化管内視鏡検査にて回腸末端に打抜き様の潰瘍性病変を認めるも、当初は診断困難であった。EBV-DNA6100copy/μgDNAと高値、EBV-IgGも640倍と高値であり、慢性活動性EBウイルス(CAEBV)腸炎を疑うも、潰瘍部からの生検組織からはEBウイルスを検出しなかった。クローン病も否定できず、5-ASA投与・ステロイドパルス加療を施行したところ軽快した。以後、外来にて経過観察していた。2012年5月、腹痛の増悪を認め再入院となった。再入院時EBV-IgGも640倍と高値であり、下部消化管内視鏡検査施行したところ同様に回腸末端に潰瘍性病変を認め、潰瘍部からの生検病理組織にてEBウイルスを検出し、CAEBV感染症関連腸炎と考えた。CAEBV感染症において、EBウイルスの標的リンパ球はT/NK細胞であるとされており、Bリンパ球を標的とした伝染性単核球症と異なる。このため、CAEBV感染症の治療としてT/NK-cell Lymphoproliferativeに対する治療(PSL+cyclosporine+VP-16)が有効とされている。しかし、今回の生検結果では、EBウイルスが検出されたもののEBER細胞を上皮の1-2%に認めるのみであり、活動性を示す主要なEBウイルス関連蛋白の一つであるLMP-1は陰性であった。よって、PSL+cyclosporine+VP-16を導入するほど活動性が高い病態には至っていないと判断し、前回入院時と同様に、ステロイドパルス治療を施行した。これにより、消化器症状(腹痛)は改善し、下部消化管内視鏡検査にて潰瘍性病変は著明に改善を認めた。このたび我々は、ステロイドパルス治療で寛解した慢性活動性EBウイルス(CAEBV)感染症関連腸炎の一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | EBV, 大腸炎 |