セッション情報 一般演題

タイトル 20:

腹直筋血腫の2例

演者 北村 悟(兵庫県立尼崎病院 消化器内科)
共同演者 山崎 友裕(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 中井 敦史(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 菱谷 英里子(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 平松 由紀子(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 生田 耕三(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 出田 雅子(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 山内 雄揮(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 野本 大介(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 川崎 公男(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 松村 毅(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 斎田 宏(兵庫県立尼崎病院 消化器内科), 木村 利幸(兵庫県立尼崎病院 消化器内科)
抄録 【背景】腹直筋血腫は筋断裂や下腹壁動静脈の損傷により生じる比較的稀な疾患である。当院で腹直筋血腫の2例を経験した。【症例1】58歳女性。主訴:下腹部痛。家族歴:特記事項なし。既往歴:乳癌、上行結腸癌にて手術、C型慢性肝炎、糖尿病、高血圧症,高脂血症。内服歴:クレストール。現病歴:咳嗽後に増悪した左下腹部痛のため、救急外来を受診。理学所見:血圧144/86mmHg、脈拍67回/分、意識清明。左下腹部に限局する弾性軟の腫瘤を触知し、圧痛を認めた。腹膜刺激症状は認めなかった。検査結果:WBC7900/μl、Hb12.8g/dl、PT(INR)1.10、APTT30.4sec、LDH216IU/L、CPK166IU/L、CRP0.6mg/dl。単純CTで左腹直筋下に57mm×37mmの紡錘状の内部不均一な腫瘤を認めた。臨床経過:腹直筋血腫の疑いで入院となった。第3病日に左鼠径部に皮下出血斑を認めた。第5病日のMRIにてT1WIで等信号、T2WIで比較的低信号の腫瘤を認め、血腫の経過に矛盾しなかった。腹痛は対症療法で改善した。【症例2】72歳女性。主訴:右下腹部痛。家族歴:妹が肺癌、母と叔父が脳梗塞。既往歴:脳梗塞、心房細動、子宮下垂にて手術。内服歴:シロスタゾール、ワルファリン、ピタバスタチンカルシウム、カルベジロール。現病歴:突然発症した右下腹部痛のため、救急外来を受診。理学所見:血圧160/74mmHg、脈拍70回/分、意識清明。右下腹部に弾性軟の腫瘤を触知し、圧痛を認めた。腹膜刺激症状は認めなかった。検査結果:WBC7300/μl、Hb13.7g/dl、PT(INR)2.03、APTT34.6sec、LDH22IU/L、CPK5IU/L、CRP0.21mg/dl。単純腹部CTにて右腹直筋下に57mm×34mmの紡錘状の内部不均一な腫瘤を認めた。腹部エコーにて腫瘤内を貫通する血流を認めた。臨床経過:第2病日に右側腹部に皮下出血斑が出現し、腹部CTにて40mm×70mmと血腫は増大した。ワルファリンを中止したところ、第9病日より血腫は縮小傾向。現在、外来にて経過観察である。【結語】腹直筋血腫は抗凝固療法、咳嗽、外傷、出産等が誘因となり、急激な強い腹痛及び腹部腫瘤で発症する比較的稀な疾患である。当院で腹直筋血腫の2例を経験した。文献的考察を加え報告する。
索引用語 腹直筋血腫, 腹痛