セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F3-10:

超音波内視鏡下針穿刺生検後に肝穿破し確定診断に至った結核性リンパ節膿瘍の一例

演者 熊谷 尚悟(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院)
共同演者 牟田 優(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 工藤 寧(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院), 八隅 秀二郎(公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院)
抄録 超音波内視鏡下針穿刺生検後に肝穿破し確定診断に至った結核性リンパ節膿瘍の一例【緒言】肺外結核の臨床経過は非特異的である事が多く確定診断に至るまで苦慮する症例も散見される。リンパ節は結核の一番多い肺外病変である。結核性リンパ節膿瘍は免疫低下状態に合併しやすいが、潜在性感染の内因性再燃も見落としてはいけない病態である。【症例】62歳女性。糖尿病、HIV感染、腎不全・肝硬変などの既往無く、結核の既往もなし。当院膠原病内科にて慢性炎症の原因精査のため撮影した腹部造影CTにて総肝動脈・左胃動脈周囲にリンパ節腫大を疑う低吸収域を指摘され当科を紹介受診した。QFT陽性でありリンパ腫などの他に結核性リンパ節炎も鑑別に挙がり超音波内視鏡下針穿刺生検(EUS-FNA)を施行したが、原因は究明できなかった。1ヶ月後、発熱・心窩部痛を主訴に来院された。腹部造影CTにて既知の低吸収域の増大が観察された。セフメタゾールによる治療を開始したがEUS-FNAに伴う膵液瘻の可能性も否定出来ず、膵液瘻に準じた治療に変更された。1週間後の腹部造影CTでは低吸収域の肝外側区への拡大が確認された。EUS-FNAを契機に、感染を伴った壊死性リンパ節が膿瘍化し肝臓に穿破したと考えられ、肝膿瘍に対し経皮経肝膿瘍穿刺を施行したところ、乳白色の検体が採取された。結核PCR陽性、抗酸菌陽性との結果が得られ結核性リンパ節膿瘍と診断し抗結核薬4剤併用療法を導入した。抗結核治療開始10日後、発熱・心窩部痛は改善した。1ヶ月後の腹部造影CTでは既知の低吸収域は著明に縮小・消失していた。その後、結核の再発無く経過している。【考察】結核のリンパ節病変に対する穿刺吸引細胞診の特異度は90%を越えるとされる一方で感度は70%程度にとどまるとの報告も散見される。本症例ではEUS-FNAで診断が付かず、外科的アプローチも検討されたが、膿瘍が肝穿破し経皮経肝的アプローチが可能になり確定診断に至ることが出来た。今回、診断に苦慮した結核性リンパ節膿瘍の1例を経験したので若干の文献的考察を交え報告する。
索引用語 結核, リンパ節炎