セッション情報 一般演題

タイトル 53:

MRSA臀部膿瘍治癒後に合併したMRSA肝膿瘍の1例

演者 岡嶋 亮(社会保険京都病院 内科)
共同演者 鈴木 俊生(社会保険京都病院 内科), 岸本 悦子(社会保険京都病院 内科), 今本 栄子(社会保険京都病院 内科), 光本 保英(社会保険京都病院 内科), 安藤 貴志(社会保険京都病院 内科), 赤田 渉(社会保険京都病院 放射線科), 山口 寛二(京都府立医科大学 消化器内科), 八木 信明(京都府立医科大学 消化器内科), 古倉 聡(京都府立医科大学 消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医科大学 消化器内科)
抄録 【症例】58歳男性【主訴】発熱、全身倦怠感、体重減少、右季肋部痛【既往歴】高血圧、睡眠時無呼吸症候群【現病歴】約1年前近医で臀部膿瘍切開排膿を施行され、膿汁培養でMRSA感染症と診断された。2ヶ月前に再発し、再度臀部膿瘍切開排膿施行された。約1ヶ月前より発熱、食欲低下、体重減少、右季肋部痛を認め、症状が悪化するため、近医受診、CRP17.6mg/dLと高値を認め精査加療目的に当院紹介、腹部造影CTで右葉後区域に肝膿瘍所見を認め精査加療目的に入院した。入院時にHbA1c 7.0%(JDS値)であり、糖尿病と診断した。【入院後経過】第2病日経皮経肝膿瘍ドレナージ術(以下PTAD)を施行し、280mlの膿汁を排液した。膿汁培養よりMRSAを検出し、MRSA肝膿瘍と診断し、第6病日よりバンコマイシンを開始した。第8病日に経過観察目的にCT施行したところ、ドレナージ不十分であり、第9病日にPTAD2本目を留置した。経過観察は腹部超音波で行ったが、膿瘍内液貯留所見改善に時間を要した。第42病日薬疹を認め、抗生剤をテイコプラニンに変更した。排液減少を認め、第44病日にPTAD1本抜去、第51病日にPTAD全抜去し、第60病日に軽快退院した。経過中PTAD造影を行ったが、胆管と膿瘍との交通所見は認めらず、MRCP上も明らかな異常所見は認めなかった。大腸内視鏡も施行したが、明らかな異常所見は認めなかった。【考察】肝膿瘍の原因として経胆道性、経門脈性、経動脈性、直達性などが挙げられるが、本例では臀部MRSA膿瘍の既往を認め、経動脈性に膿瘍を形成したものと考えられた。MRSA肝膿瘍は本邦における報告例が非常に少ないが、基礎疾患を有する症例には起因菌としてMRSAも鑑別にあげるべきと考えられる。
索引用語 MRSA, 肝膿瘍