セッション情報 |
シンポジウム2「肝細胞癌に対する治療戦略」
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タイトル |
S2-10:切除不能進行肝癌の集学的治療におけるsorafenibの位置付け
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演者 |
竹田 治彦(大阪赤十字病院 消化器内科) |
共同演者 |
西川 浩樹(大阪赤十字病院 消化器内科), 木村 達(大阪赤十字病院 消化器内科), 大崎 往夫(大阪赤十字病院 消化器内科) |
抄録 |
【背景/目的】本邦にsorafenibが導入されて3年余りが経過したが、集学的治療におけるその位置づけについては未だ混沌とした現状がある。「Sorafenibをいつ導入し、いつまで継続するか、いかに継続するか」という視点から、当科での経験症例を後方視的に解析した。対象は当科で2012年8月までにsorafenibを導入した切除不能進行肝癌120例。男性:女性=96:24, 平均71歳. Stage2/3/4A/4B=6/41/22/51例. 導入時Child Pugh A:B=88:32例.【検討1】当科で2012年2月までにsorafenibを導入した症例中、導入前に血清ChE値を測定した93例を対象としてA群 (Ch-E>140mg/dl) とB群 (Ch-E<140mg/dl)に群別し、治療中の肝機能障害および全生存期間との関連につき解析した。結果:Grade3以上の肝機能悪化はA群で46例中3例(7%)、B群では47例中21例(46%)に認められ(p=0.001)、ChildAに限定した検討でも同様に両者に有意差を認めた。全生存期間(OS)はA群350(±49.9)日, B群143(±17.9)日(p=0.009)とA群が良好であった。多変量解析においてもChE低値は肝障害予測因子かつ予後不良因子と考えられた。Sorafenibの全身化学療法としての効果を期待するのであれば、十分な肝予備能を有する時期に導入することが望まれる。【検討2】Sorafenib療法中の肝予備能低下(ALB低下)に対するBCAA製剤の有用性につき検討した。治療前血清ALB≦3.5g/dLの78例をBCAA群34例と対照群44例に群別した。結果:sorafenib中止までの期間およびOSはともに前者のほうが有意に良好であった。4週以上sorafenibを投与し12週以上経過観察した症例で解析すると、BCAA群は12週後のALB低下を有意に抑制でき、投与期間、総投与量、生存期間ともに対照群と比して有意に良好な結果であった。BCAA製剤は低ALB血症を有する症例におけるsorafenib療法中の肝予備能を維持し、長期内服に寄与する可能性が示唆された。【結論】十分な肝予備能が保たれている状態でsorafenibを導入し、肝予備能を維持しながら長期内服をめざすことが、生存延長を期待するにあたり肝要と考える。 |
索引用語 |
sorafenib, 肝細胞癌 |