セッション情報 一般演題

タイトル 57:

若年男性に発症した肝細胞腺腫の一例

演者 大濱 日出子(大阪医科大学付属病院 第二内科)
共同演者 朝井 章(大阪医科大学付属病院 第二内科), 筋師 徹也(大阪医科大学付属病院 第二内科), 土本 雄亮(大阪医科大学付属病院 第二内科), 福西 新弥(大阪医科大学付属病院 第二内科), 竹下 篤(大阪医科大学付属病院 病理学教室), 津田 康宏(大阪医科大学付属病院 第二内科), 林 道廣(大阪医科大学付属病院 消化器外科), 内山 和久(大阪医科大学付属病院 消化器外科), 樋口 和秀(大阪医科大学付属病院 第二内科)
抄録  症例は20歳台、中国人男性。2009年10月に39度台の発熱および右季肋部痛あり近医入院、造影CTで上肝左葉に55mm大の腫瘤を認めたが良性腫瘍と診断、腫瘤によると思われる右季肋部痛も自然軽快したため経過観察となっていた。その後は特に症状なく経過していたが2012年5月に発熱・腹痛を認め当科初診となった。身体所見上心窩部に軽度圧痛、肝1横指触知する以外特記事項なく、血液検査では肝炎ウイルスは陰性で、その他肝機能・腫瘍マーカーを含め特記すべき異常値は認めなかった。Dynamic CTではS4に65mm大、早期相でごく淡く染まり後期相でwashoutを認める腫瘤を認めた。EOB造影MRIを行ったところS4の腫瘤は65mm大、境界明瞭でoposed phaseで低信号を呈しており、T2WIで低信号、動脈相でやや淡く染まり、肝細胞相で低信号となり、DWIで軽度高信号で、高分化型肝細胞癌や肝細胞腺腫などが考えられた。そのためエコーガイド下に腫瘍生検を行ったが脂肪変性を伴う肝組織を認めるのみであった。経過で腫瘍径増大を認め悪性腫瘍の否定は出来ず、疼痛などの自覚症状も認めるため当院消化器外科で腹腔鏡下S4部分切除術を施行した。摘出した腫瘤は線維性被膜を有さない腫瘍で、索状に配列する明るい胞体を有する腫瘍細胞の増殖と動脈性血管の増生及びpeliosisを認めた。免疫染色でMIB1陰性、p53陰性、CD34陰性、hepatocyte陽性であり肝細胞腺腫と診断された。術後経過は良好で現在は外来で経過観察中である。 肝細胞腺腫は欧米では人口10万人に対し3-4%の頻度でみられ、その85%が若年女性に見られるとの報告がある。アジアではさらに発生頻度が少ないが、悪性化の指摘もある。本症例のような合併症や経口避妊薬内服既往のない若年男性に発症することは稀であり、subtype解析を含め報告する。
索引用語 肝細胞腺腫, 若年男性