セッション情報 Young Investigator Session(卒後3-5年目迄)

タイトル Y6-2:

自己免疫性膵炎にIgG4関連自己免疫性肝炎を合併した一例

演者 末松 那都(兵庫県立加古川医療センター 総合内科)
共同演者 大内 佐智子(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科), 加藤 慶太郎(兵庫県立加古川医療センター 総合内科), 塩澤 寛子(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科), 白川 裕(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科), 八幡 晋輔(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科), さか本 喜雄(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科), 堀田 和亜(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科), 廣畑 成也(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科), 尹 聖哲(兵庫県立加古川医療センター 消化器内科), 田代 敬(兵庫県立加古川医療センター 病理診断科), 藤本 昌代(兵庫県立加古川医療センター 病理診断科)
抄録 症例は66歳男性。高血圧で通院中、定期血液検査で肝胆道系酵素の上昇を認めたため精査目的で紹介となった。膵画像検査にて膵臓のびまん性腫大と主膵管の狭細像を膵全体の1/3以上に認め、血清IgG4 634mg/dlと高値から自己免疫性膵炎と診断した。胆管造影検査およびMRCPにて、下部胆管は狭窄していたが数珠状変化はなく、原発性硬化性胆管炎による変化は見られなかった。腫大した膵臓による圧排も伴っていたが、全周性の狭窄であり、IgG4関連の硬化性胆管炎と考えられた。狭窄した総胆管に対し胆管ドレナージチューブを留置したが、AST 107IU/L, ALT 214IU/Lと肝酵素の上昇が続いたため、肝実質障害の合併も疑い肝生検を施行した。病理組織検査にて門脈域に軽度から中等度の炎症細胞浸潤があり、interface hepatitisを伴っていた。胆管は保たれていた。門脈域の炎症細胞浸潤部ではIgG4陽性形質細胞の増加が認められ、IgG4関連肝障害と考えられた。各種肝炎ウイルスマーカーは陰性で、抗ミトコンドリア抗体、抗平滑筋抗体も陰性だった。IgG 1840mg/dl,抗核抗体80倍で、自己免疫性肝炎の国際診断基準で14点と疑診であったが、簡易型スコアリングシステムでは7点で確診であり、IgG4関連自己免疫性肝炎に相当すると考えられた。プレドニゾロン40mg/日で治療を開始、自己免疫性膵炎、肝障害ともにステロイド治療の反応は良好であった。自己免疫性膵炎に合併したIgG4関連自己免疫性肝炎の一例を経験した。IgG4関連自己免疫性肝炎の概念はまだ確立していないため文献的考察を加えて報告する。
索引用語 IgG4関連疾患, 自己免疫性肝炎