セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F5-5:

巨大膵嚢胞破裂後の嚢胞内感染に対し経消化管的治療が有効であった一例

演者 杉野 敏志(公立山城病院 内科)
共同演者 黒田 雅昭(公立山城病院 内科), 石破 博(公立山城病院 内科), 坂上 共樹(公立山城病院 内科), 川端 利博(公立山城病院 内科), 今井 昭人(公立山城病院 内科), 新井 正弘(公立山城病院 内科), 八木 信明(京都府立医科大学消化器内科), 内藤 裕二(京都府立医科大学消化器内科)
抄録 【症例】88歳女性【主訴】発熱、下腹部痛【現病歴】2006年より上腹部膨満感の出現、持続あり、膵嚢胞と診断されるも精査加療は望まれず近医にて経過観察とされていた。2012年2月27日転倒の後より腹部膨満感の急激な改善あり、2月29日下腹部鈍痛および発熱の出現あり。当院救急搬送となった。来院時下腹部を中心に軽度圧痛あり。腹水貯留あり。腹部CTで膵尾部嚢胞は破裂後虚脱していたが、出血と思われる内部高吸収域を認め嚢胞内出血と診断した。造影CTで明らかな破綻出血は認めなかった。入院後、安静絶食および広域スペクトラムの抗生剤による加療を実施したところ全身状態は改善し、炎症反応も改善傾向であった。しかし食事摂取再開の後、発熱および上腹部痛の出現を認めた。腹部CTを再検したところ、破裂嚢胞は緊満し周囲脂肪織濃度の上昇を伴ったため嚢胞内感染、限局性腹膜炎と診断した。EUS-FNA併用膵嚢胞ドレナージを実施し7Fr pig tail ERBD tubeを2本留置した。翌日より発熱および上腹部痛は一旦改善したがドレーン挿入の5日後より再度発熱、上腹部痛の出現あり。CT再検で嚢胞の縮小は認めずドレナージ不良と判断し、12mmでのバルーン拡張術の後膵嚢胞内へそのまま内視鏡を挿入し内部壊死物質のネクロセクトミーを施行した。その後5Fr ENBD tubeによる外瘻tubeを留置し一連の手技を終了した。その後経過は良好で、嚢胞の著明な縮小および炎症反応の消失を認め退院となった。【考察】膵仮性嚢胞の重篤な合併症である嚢胞破裂や嚢胞内感染は一度生じると致死的であるとされ、その後の治療に難渋することが多いとされる。今回我々は巨大膵嚢胞破裂に対し保存的に加療し、その後の嚢胞内感染に対し経消化管的治療により改善を認めた一例を経験したので、若干の文献学的考察を含め報告する。
索引用語 巨大膵嚢胞, 経消化管的治療