セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F1-1:

胸部食道から胃噴門部の壁肥厚を認め、特発性食道破裂との鑑別を要した胃アニサキス症の1例

演者 大原 寛明(大阪医療センター消化器科)
共同演者 榊原 祐子(大阪医療センター消化器科), 日比野 賢嗣(大阪医療センター消化器科), 杉本 彩(大阪医療センター消化器科), 木村 圭一(大阪医療センター消化器科), 田村 猛(大阪医療センター消化器科), 坂根 貞嗣(大阪医療センター消化器科), 田中 絵里(大阪医療センター消化器科), 岩崎 哲也(大阪医療センター消化器科), 岩崎 竜一朗(大阪医療センター消化器科), 長谷川 裕子(大阪医療センター消化器科), 由雄 敏之(大阪医療センター消化器科), 外山 隆(大阪医療センター消化器科), 中水流 正一(大阪医療センター消化器科), 石田 永(大阪医療センター消化器科), 三田 英治(大阪医療センター消化器科)
抄録 【症例】60歳代 男性【主訴】胸痛【既往歴】特記すべき事項なし【現病歴】2012年8月下旬19時から21時まで食事をとっていた。食事中に動悸を自覚するも経過をみていた。深夜に嘔吐し、胸痛が出現した。症状が増悪してきたため、当院救急外来を受診。胸部レントゲン、心電図は異常なかったが、大動脈解離など否定できないことから胸腹部造影CTを施行した。胸部食道から噴門部にかけて壁肥厚があり、食道周囲から下行大動脈周囲にまで低吸収域が認められることから、特発性食道破裂の疑いで緊急入院となった。入院後、上部内視鏡を施行したところ、噴門部に白色の異物が刺入しており、鉗子で摘出し、アニサキスの虫体であることを確認した。検査後に問診したところ、胸痛の数時間前に鯖寿司を食べていたことが判明した。検査直後に再度胸部CTを施行したところ、検査前に認めた胸部食道周囲の低吸収域は大部分が消失し、食道壁のわずかな肥厚を認めるのみであった。処置後症状も消失し、翌日退院となった。【考察】胃アニサキス症の症状は一般に上腹部痛、嘔吐であり、好酸球性蜂窩織炎を腸管に一時的に生じさせ壁の浮腫像をきたすものの、一般的には胃の大弯に存在し、胃の浮腫像が見られることが一般的である。本例は噴門部にアニサキスが刺入し、胸部食道および縦隔まで炎症が及んだため胸痛が出現し、狭心症、大動脈解離、特発性食道破裂等の鑑別診断が必要であった。今回、アニサキス摘出前後のCT画像と併せ、若干の文献的考察を含めて報告する。
索引用語 アニサキス, 胸痛