セッション情報 | Young Investigator Session(卒後3-5年目迄) |
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タイトル | Y7-1:潜在性結核感染症治療下にエベロリムスとオクトレオチドLARを併用投与した膵神経内分泌腫瘍の1例 |
演者 | 田村 猛(大阪医療センター 消化器科) |
共同演者 | 中水流 正一(大阪医療センター 消化器科), 木村 圭一(大阪医療センター 消化器科), 杉本 彩(大阪医療センター 消化器科), 日比野 賢嗣(大阪医療センター 消化器科), 坂根 貞嗣(大阪医療センター 消化器科), 田中 絵里(大阪医療センター 消化器科), 岩崎 哲也(大阪医療センター 消化器科), 岩崎 竜一朗(大阪医療センター 消化器科), 長谷川 裕子(大阪医療センター 消化器科), 榊原 祐子(大阪医療センター 消化器科), 由雄 敏之(大阪医療センター 消化器科), 外山 隆(大阪医療センター 消化器科), 石田 永(大阪医療センター 消化器科), 森 清(大阪医療センター 臨床検査科), 児玉 良典(大阪医療センター 臨床検査科), 三田 英治(大阪医療センター 消化器科) |
抄録 | 【はじめに】エベロリムスには免疫抑制作用があるため,潜在性結核感染症(LTBI)から結核が発病する可能性があり注意が必要である.今回,LTBI治療をしながらエベロリムスとオクトレオチドLARを併用投与した膵神経内分泌腫瘍(pNET)の1例を経験したので報告する.【症例】70歳代,女性.【経過】2007年10月右季肋部痛を主訴に近医を受診し,膵癌肝転移と診断されたため,S-1単独療法や5-FU肝動注化学療法が施行された.2010年10月前医で肝腫瘍生検が施行され,病理所見では好酸性の胞体と類円型の比較的均一な大きさの核をもつ細胞が小胞巣を形成し増殖していた.免疫染色はクロモグラニンA,シナプトフィジン,CD56,NSEが陽性で,Ki-67指数は6%,核分裂像数は2/10 HPFであり,2010年WHO分類でNET G2と診断された.肝転移を伴うpNETに対してイリノテカン+シスプラチン(IP)療法が開始され,2コース終了時の腹部CTではSDであった.2011年2月患者希望で当院に転院となった.血液検査はCA19-9 63 U/mL,NSE 22.2 ng/mLと軽度高値で,ガストリンは1370 pg/mLと高値であった.腹部CTでは膵頭部に30mmの多血性腫瘍があり,最大径86mmの多発肝転移も認めた.当院転院後も好中球減少が持続したためIP療法は継続困難であった.同年3月からオクトレオチドを開始したところ,ガストリン値は速やかに低下した.2012年1月のPET-CTで右仙骨に転移が出現したため,エベロリムスを追加し,オクトレオチドLARと併用投与する方針とした.胸部CTで右肺に微小結節を認めたためエベロリムス投与開始前にQFT検査を施行したところ陽性と判明した.明らかな結核感染の所見がなかったためLTBIと診断した.エベロリムス投与によってLTBIから結核が発病するリスクを下げるために,エベロリムス投与と同時にイソニアジドを投与した.エベロリムス開始7カ月後のCTで肝転移巣は25%縮小した.【結語】エベロリムス投与前にはQFT検査を積極的に施行し,LTBI症例に対してはエベロリムス投与時にLTBI治療も行うことが望ましいと考えられる. |
索引用語 | エベロリムス, 結核 |