セッション情報 一般演題

タイトル 34:

保存的加療により治療し得た十二指腸壁内血腫の1例

演者 板井 良輔(神戸市立医療センター西市民病院 消化器内科)
共同演者 三上 栄(神戸市立医療センター西市民病院 消化器内科), 孫 永基(神戸市立医療センター西市民病院 消化器内科), 丸尾 正幸(神戸市立医療センター西市民病院 消化器内科), 小野 洋嗣(神戸市立医療センター西市民病院 消化器内科), 木村 佳人(神戸市立医療センター西市民病院 消化器内科), 池田 英司(神戸市立医療センター西市民病院 消化器内科), 高田 真理子(神戸市立医療センター西市民病院 消化器内科), 住友 靖彦(神戸市立医療センター西市民病院 消化器内科), 山下 幸政(神戸市立医療センター西市民病院 消化器内科)
抄録 【症例】41歳、男性【主訴】心窩部痛【既往歴】アルコール性肝障害、慢性C型肝炎【現病歴】1ヶ月前から間欠的な心窩部痛を自覚していた。2011年12月23日 夜間より腹痛が出現し、増悪を認めたため前医受診。重症急性膵炎の診断で同日入院となったが、12月25日加療目的に当科に転院となった。【経過】入院時の造影CTにてCT grade2の重症膵炎を認めた。また十二指腸下行脚から水平脚の壁内に長径12cm大の腫瘤を認めた。内部は等~高濃度が混在していたことより血腫が疑われた。MRI上はT1強調画像で高吸収点が混在する低吸収域、T2強調画像では高吸収域であり、急性~亜急性期の十二指腸壁内血腫と診断した。腫瘤内部に流入する血管構造を認めたものの、明らかな仮性動脈瘤はみられなかったため、保存的加療を行うこととした。急性膵炎は内科的治療により改善を認め、血腫も注意深く経過観察を行ったところ徐々に縮小傾向を認めた。食事摂取を開始するも通過障害は来さず、また入院後に出現した黄疸・肝胆道系酵素上昇も改善傾向を認めたため、1月31日退院となった。以後は外来にて経過観察を行っているが、血腫はさらに縮小傾向を認め、9月6日のCT上、長径3cm大まで縮小している。【考察】十二指腸壁内血腫は外傷を契機に発症することが多いとされるが、本症例では膵炎が発症に関与したと考えられる。稀な症例を経験したため文献的考察を加えて報告する。
索引用語 十二指腸壁内血腫, 膵炎