セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 58:腫瘍内出血を来たした肝血管腫の一例 |
演者 | 仙田 花実(大阪府済生会中津病院) |
共同演者 | 伊藤 大(大阪府済生会中津病院), 黒澤 学(大阪府済生会中津病院), 岩坪 太郎(大阪府済生会中津病院), 横田 甚(大阪府済生会中津病院), 小池 英明(大阪府済生会中津病院), 安冨 栄一郎(大阪府済生会中津病院), 長谷 善明(大阪府済生会中津病院), 上田 綾(大阪府済生会中津病院), 古賀 英彬(大阪府済生会中津病院), 川口 真平(大阪府済生会中津病院), 生方 聡史(大阪府済生会中津病院), 江口 考明(大阪府済生会中津病院), 大橋 理奈(大阪府済生会中津病院), 田中 敏雄(大阪府済生会中津病院), 山下 博司(大阪府済生会中津病院), 福知 工(大阪府済生会中津病院), 蘆田 潔(大阪府済生会中津病院) |
抄録 | 【症例】64歳女性【既往歴】3年前に指摘された肝血管腫、47歳時に甲状腺乳頭癌手術【現病歴】2012年3月10日より38度の発熱と全身倦怠感、食欲不振が出現し3月27日に近医を受診した。炎症反応の上昇と貧血をみとめ、エコーで肝右葉に10cm大の血管腫と内部にlow echo lesionをみとめ、精査加療目的に同日当院へ紹介、入院となった。【入院時検査所見】入院時採血では、炎症反応の上昇と貧血をみとめたが、肝胆道系酵素は基準値内であった。腹部造影CTでは辺縁部は動脈相、門脈相、平衡相と辺縁から徐々に濃染される血管腫として矛盾しないが、中心部にはfilling-inのみられない低吸収域をみとめた。Gd造影MRIでは中心部はT1強調で低信号からやや高信号、T2強調では不均一な高信号で、拡散強調画像では高信号を示した。以上の所見から中心部は血管腫内の血腫や高蛋白液貯留、出血変性を疑った。【入院後経過】38℃の発熱と炎症反応高値が持続したため抗生剤を投与したが、感染徴候をみとめず第6病日に中止した。貧血が進行したため第11、12病日に輸血を施行し、その後発熱と炎症反応の上昇は改善をみとめた。画像検査より肝血管腫内の腫瘍内出血が疑われ、不明熱と貧血の原因と考えた。外科にて肝中央2区域切除、胆嚢摘出術を施行した。病理所見では腫瘍中心部は広範な凝固壊死に陥っており、内部に梗塞像を伴う血管腫と診断した。【考察】肝血管腫は肝良性疾患の中で最も頻度が高く、ほとんどが無症候性、無変化に経過するため、治療の対象とならないことが多い。しかし肝血管腫の中には腫瘍が増大し腹痛、腹満といった症状を呈したり血管腫の破裂により重篤な状態に陥る例がある。肝血管腫の破裂は稀で、多くは腹腔内または被膜下への出血であるが、本症例は腫瘍内出血を来たした。【結語】腫瘍内出血を来たした肝血管腫の一例を経験したため、若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 肝腫瘍, 肝血管腫 |