セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F1-10:

留置スネアにて止血し得た大腸angioectasiaからの出血の一例

演者 落合 智志(泉大津市立病院 消化器内科)
共同演者 青松 和輝(泉大津市立病院 消化器内科), 武田 翔伍(泉大津市立病院 消化器内科), 松本 紘子(泉大津市立病院 消化器内科), 南野 弘明(泉大津市立病院 消化器内科), 黄田 桂司(泉大津市立病院 消化器内科), 早川 剛(泉大津市立病院 消化器内科), 格谷 洋和(泉大津市立病院 消化器内科), 山形 知(泉大津市立病院 消化器内科), 押谷 伸英(泉大津市立病院 消化器内科)
抄録 大腸における内視鏡的止血術はクリッピングまたはアルゴンプラズマ焼勺にて行われるのが一般的である。今回、我々は、留置スネアにて止血を得た大腸angioectasiaからの出血の症例を経験したので報告する。
【症例】82歳、男性。平成24年10月初旬に突然の左上肢の麻痺を自覚し、心原性脳塞栓の診断で当院脳神経外科に入院となった。入院中にワルファリンカリウムの投与が開始され、第16病日から血便が出現した。第18病日の血液検査でヘモグロビンの著明な低下(Hb:4.6)及び尿素窒素高値(BUN:29.7)を認め、下部消化管出血の疑いで同日より消化器内科共観となった。輸血後に貧血の改善(Hb7.8)を認めたが、血便の継続があり第19病日に下部消化管内視鏡を施行した。内視鏡的所見上は上行結腸、肝彎曲に多発の毛細血管拡張症を認めた。これらのうち、肝彎曲の病変より、拍動性の出血を認めたため同部位が責任病変と考えた。同部位に高張ナトリウム・エピネフリンを局注した後、クリップ2個をかけたが、止血できず。さらに生理的食塩水局注にて病変部位に膨隆を形成し、留置スネアにて膨隆部を結紮し止血を得た。止血術施行後より血便の消失を認め、第22病日の血液検査にてHb:10.2、BUN:16.3と貧血、尿素窒素高値の改善を認めた。
【考察】下部消化管からの出血において、内視鏡下の止血法は緊急止血法としてまずとられる止血法である。内視鏡的止血法としてはクリップによる止血、熱変性を加えるのであれば熱の影響が表層にとどまるアルゴン・プラズマ凝固法が適しているが中小の病院においてはアルゴンプラズマ凝固装置が無い場合も多い。この様な状況においても留置スネアにより止血が可能である症例を経験したので報告する。
索引用語 大腸内視鏡, 止血術