セッション情報 Freshman Session(卒後2年迄)

タイトル F5-2:

胆管癌との鑑別に苦慮したIgG4関連硬化性胆管炎の一例

演者 古川 勝也(東大阪市立総合病院 臨床研修医 2年)
共同演者 山口 利朗(東大阪市立総合病院 臨床研修医 2年), 瀬川 朋未(東大阪市立総合病院 臨床研修医 2年), 石見 亜矢(東大阪市立総合病院 臨床研修医 2年), 佐々木 一之(東大阪市立総合病院 臨床研修医 2年), 岡田 愛子(東大阪市立総合病院 臨床研修医 2年), 赤松 晴樹(東大阪市立総合病院 臨床研修医 2年), 飯尾 禎元(東大阪市立総合病院 臨床研修医 2年), 小林 一三(東大阪市立総合病院 臨床研修医 2年)
抄録 【症例】65歳女性【主訴】黄疸【既往歴】腰椎椎間板ヘルニア【現病歴】急性胃腸炎のため近医で加療中に黄疸を認め、血液検査にて肝機能障害を認めたため当科紹介受診。精査加療目的で入院となった。【入院時検査所見】AST245IU/l,ALT573IU/l,ALP793IU/l,γ-GTP791IU/l,T-bil7.3mg/dl,D-Bil5.9mg/dl,DUPAN-2 25U/ml,SPAN-1 10.7U/ml,CEA3.8ng/ml,CA19-9 12.1U/ml【入院後経過】造影CTにて総胆管、肝内胆管の拡張、膵内胆管の狭小化、濃染、膵体尾部の萎縮、膵体部の主膵管拡張を認めた。胆管癌による閉塞性黄疸を疑いERCP施行。総胆管下端から長さ6cmの狭窄、狭窄後の拡張を認め、膵頭部膵管に長さ18mmの狭窄、狭窄後の拡張を認めた。両狭窄部にて擦過細胞診を施行し胆管狭窄部にERBD tubeを留置した。その後にT-Bil 4.7mg/dlまで改善認められ第7病日に一旦退院となった。胆管、膵管擦過細胞診は陰性であった。PETでは膵頭部と胆管狭窄部を超えて上部胆管まで広がる集積を認め、左上咽頭にも左右差のある集積を認めた。胆管の非狭窄部まで広がるFDGの集積を認めたことから、IgG4関連疾患の可能性も疑いIgG4を測定したところ164mg/dlと高値であった。第16病日、外来受診時にT-bil 12.4mg/dlと再上昇を認めたため再度入院となった。第17病日ERBD tubeの入れ換えを行なった際にVater乳頭の腫大を認め、同部位より生検を施行した。胆管狭窄部にて再度擦過細胞診を施行するも陰性であった。その後も黄疸は持続し、T-bil値はさらに上昇を示した。Vater乳頭の生検よりIgG4陽性形質細胞>10個/HPFかつIgG4/IgG陽性細胞比40%以上を認め、IgG4関連硬化性胆管炎と診断した。第22病日よりPSL40mg内服を開始したところ、T-bil値は低下しPSL漸減を行なった。第50病日にはT-bil1.7まで低下したため第51病日に退院となり、現在当科外来フォロー中である。【結語】胆管癌との鑑別に苦慮したIgG4関連硬化性胆管炎の一例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 IgG4関連硬化性胆管炎, 胆管癌