セッション情報 シンポジウム2「肝細胞癌に対する治療戦略」

タイトル S2-3:

結節別治療データベースと3次元フュージョン画像による治療効果判定結果から見える局再の少ないRFA治療戦略

演者 榊原 充(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科)
共同演者 大川 和良(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 今中 和穂(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 石原 朗雄(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 長谷川 徳子(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科), 片山 和宏(大阪府立成人病センター 肝胆膵内科)
抄録 【背景】当院ではRFA治療対象となった結節を結節単位でデータベース化している。また、治療前後画像を3次元的に重ね合わせて変位を補正したVolume Fusion Image (VFI)を作成し、簡便でより精度の高いマージン判定を試みている。【目的】これまで蓄積した結節別RFA治療データから局所再発の要因および好発部位を明らかにすることを目的とした。またVFIを応用した効果的な追加治療法を提示する。【方法】RFA治療前後画像からAQnet viewerを用いてVFIを作成しマージンを判定した。【結果】1)当院で2010年度にRFA治療をうけた患者84人が過去に治療した139結節について、VFIでのマージン判定とその後の局再との関係について検討するとマージンが短いほど局再率が高かった(p=0.0054)。また、個々の腫瘍関連因子(サイズ、個数、マージン等)を検討すると、マージンのみが局再の有意な因子であった。全22局再結節のうち19結節が前治療でのマージン無・遺残部位からの再発であった。遺残無かつマージン無(Rvf1)と判定された39結節について検討すると23結節で最短マージンに血管が接していた。Rvf1結節での局再5結節は全て最短マージンから発現しており、局再率は最短マージンに血管がないA群より血管が接していたB群で高い傾向があった (p=0.0508)。さらに局再したB群で接する血管径はすべて3mm以上であった。2)VFIによって同定された追加治療必要部位にバーチャル像上でマーキングをおこない、造影下RVSを行うことで極めて正確な追加治療が可能である。【結論】VFIによって正確なマージン判定が可能であると共に治療不足部位を精密に同定可能である。局再を抑制する為には1mmでもマージンを全周に確保することが重要であり、可能な限り追加治療を行ってマージンを確保する必要がある。しかし、血管によるクーリングでマージンが確保できない場合も多い。特に血管径が3mm以上の場合は局再の可能性が高く、血管損傷に注意しつつ追加治療するか、充分なインフォームドコンセントの上で経過観察する必要があると考えられた。
索引用語 肝細胞癌, RFA