セッション情報 一般演題

タイトル 22:

皮膚筋炎を合併し、多臓器転移を伴った食道癌の1例

演者 堀 順子(三木市三木市民病院 消化器内科)
共同演者 境 秀樹(三木市三木市民病院 消化器内科), 家本 孝雄(三木市三木市民病院 消化器内科), 林 宏樹(三木市三木市民病院 消化器内科), 田中 克英(三木市三木市民病院 消化器内科), 佐貫 毅(三木市三木市民病院 消化器内科)
抄録  症例は70歳代男性である。前額部と頬部に皮膚紅斑を認め、当院皮膚科を初診した。Gottron徴候やheliotrope疹より皮膚筋炎と診断し、悪性腫瘍検索目的で当科紹介され受診した。問診で軽い嚥下障害も認め、理学所見で右前頸部に鶏卵大、弾性硬の腫瘤を触知した。上部消化管内視鏡検査で下部食道15mm大の1型腫瘍を認め、また25~40cmにかけて広範な0-IIb病変が拡がっていた。生検により食道扁平上皮癌と診断し、頸部腫瘤はリンパ節転移と考えた。画像検査で他臓器に明らかな転移所見はなく、治療として化学放射線療法 (CRT)を計画したが皮膚筋炎による全身の筋力低下が著しくなり、ステロイドパルス+大量γ-グロブリン療法を開始した。治療後に改善傾向が見られたため、CRT目的で高次病院に転院したが、間もなく意識障害を来たし当院に再転院となった。脳MRIで硬膜下水腫を認め、その後全身状態が急速に悪化し、初診から第53病日に永眠された。病理解剖所見では、扁平上皮癌による高度のリンパ管侵襲がみられ、肺・大腸漿膜面・膀胱・前立腺・脾臓・副腎・骨髄・頭皮下・骨膜、硬膜・大脳と多数の臓器に広範な転移を認めた。上矢状静脈洞内にも腫瘍が充満し、直接的死因となった硬膜下水腫の原因と考えられた。 多発性筋炎・皮膚筋炎 (PM/DM)に悪性腫瘍が合併することは知られているが、悪性腫瘍は進行期であることが多い。今回われわれは皮膚筋炎所見が初診の契機となり、最終的に病理解剖を実施した多臓器転移を伴う食道癌の1例を経験したため報告する。
索引用語 食道癌, 皮膚筋炎