セッション情報 | Freshman Session(卒後2年迄) |
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タイトル | F4-9:嚢胞形成を伴う多発肝腫瘍の一例 |
演者 | 梅村 さゆり(大阪市立大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター ) |
共同演者 | 小林 佐和子(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 山口 康徳(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 元山 宏行(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 遠山 まどか(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 川村 悦史(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 萩原 淳司(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 藤井 英樹(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 村上 善基(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 森川 浩安(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 榎本 大(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 田守 昭博(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科), 河田 則文(大阪市立大学医学部附属病院 肝胆膵内科) |
抄録 | 【症例】77歳、女性。生来健康であった。X年5月にS状結腸の12mm大carcinoma(tub1)with adenomaに対し、内視鏡的粘膜切除術を施行された。その後の腹部超音波検査、造影CTで多発肝腫瘍を指摘されたため精査加療目的に当院当科へ紹介となった。血液検査上明らかな肝障害はなく、AFP、PIVKA-II、CEA、CA19-9は正常範囲であった。腹部超音波検査では、S6の69mm大の腫瘍を最大として肝両葉に多発する嚢胞性腫瘤を認めた。腫瘍は辺縁高エコー、内部が無エコーとなっており、内部には隔壁構造が見られた。造影CTでは腫瘤の辺縁の被膜部と内部の隔壁構造が造影され、内部には造影効果は認めなかった。造影MRIでは、腫瘤の内部に液面形成があり、T1WIで高信号を含み、モザイク状に様々な信号を呈していた。腫瘤辺縁はT1WIで高信号域を伴い、造影効果が見られた。以上より、鑑別疾患として、大腸癌肝転移、肝膿瘍、転移性肝癌、神経内分泌腫瘍(NET)、嚢胞腺癌などが考えられたため、確定診断のために経皮的肝生検を行った。生検組織では小型の細胞塊が認められ、クロモグラニンA染色が陽性のため、NETの肝転移と考えられた。CT、MRIで、十二指腸下行脚に原発腫瘤が疑われたため上部内視鏡検査を施行したところ、十二指腸角に17.6mm×8.3mmの中央陥凹を伴う粘膜下腫瘤を認めた。同部の生検では、粘膜固有層やリンパ管内に小型円形核で好酸性の細胞が増殖しており、リボン状~小胞巣を呈していた。CAM5.2、AE1+AE3、シナプトフィジン、クロモグラニンA染色が陽性であり、十二指腸NETと診断した。Ki-67指数は2%以下であった。【考察】今回、嚢胞形成を伴う多発肝腫瘤を契機として診断された十二指腸原発NETの一例を経験した。本症例は造影MRIで肝嚢胞内にモザイク状に様々な信号を呈しており、NETに特徴的な所見と考えられた。嚢胞性肝腫瘍の診断、神経内分泌腫瘍の診断において示唆に富む症例と考えられるため報告する。 |
索引用語 | 十二指腸神経内分泌腫瘍, カルチノイド |